こんにちは、マサキ工房です。
21年間のリフォーム営業と工務5年の経験をもとに、「住まいのリフォームに関する悩みや疑問を解決する記事(情報)」をお届けしているブログです。【2016年11月~小さな工務店を経営】
平屋の家にお住まいのかたで、「足場なしで外壁塗装はできないの?」と疑問に思ったことはありませんか。
「ご近所の○○さんは、足場なしで塗装していたような・・」というかたも、なかにはいることでしょう。
僕はこれまで、外壁塗装の見積り(商談)を2,000件以上、そのうち1,200軒以上の契約・完工を経験してきました。
平屋の外壁塗装を見積りした際には、(上記のような)足場に関する質問は多いです。
(結論からいうと)平屋の家を外壁塗装する場合、足場なしでも工事することは可能です。
しかし、実際に複数の塗装業者に見積り依頼してみるとわかるのですが、ほとんどは足場が必要な見積書ばかりだと思います。
なぜ、足場なしでも塗装することができるのに、足場代が必要な見積書ばかりになるのでしょうか?
この記事では、平屋の家を外壁塗装する際、「足場なしでも塗装可能なケース」や「部分的に足場を組めばよいケース」について解説しています。
記事を読むことで、”足場なし”もしくは”最低限の足場代”で外壁塗装する方法がわかります。
平屋の家にお住まいのかたは、ぜひ記事の内容を参考にしてみてください。
平屋の外壁塗装で足場が確実に必要なケースは?【足場なしでは無意味!?】
平屋の家の外壁塗装は、大半のケースで”足場なし”でも工事することができます。
しかし、以下3つのケースのいずれかに該当する場合、”足場なし”で工事をしてくれる塗装業者は滅多にいないと思います。
- 隣家の外壁までの距離が近い(5m未満)
- 片流れ・切妻屋根の平屋の家
- 外壁の塗装面積が100㎡以上または建坪25坪以上ある
隣家の外壁までの距離が近い(5m未満)
外壁塗装工事では、外壁や付帯部(軒天・破風板などの高所)の旧塗膜や汚れを高圧洗浄できれいに落とす必要があります。
せっかく塗装しても、塗料が素材に密着せず剥がれてしまうからです。
隣家の外壁までの距離が5m未満の場合、
高圧洗浄すると汚れを含んだ水しぶきが飛び散るため、どうしても隣家の外壁や敷地(庭)を汚してしまいます。
隣家の庭に花や盆栽などの鉢植えがある場合は、なおさら気をつけるべきです。
お互い様とはいえ、(隣家のかたは)あまり良い気はしないと思います。
水しぶきが周囲へ飛び散らないようにするためには、足場に”飛散防止ネット”の取付けが必要です。
そうすれば、塗装職人も気兼ねなく旧塗膜や汚れを徹底的に洗うことができるだけでなく、隣家にも迷惑をかけなくて済みます。
5m未満)場合、”飛散防止ネット”を張らないといけないため足場が必要です。
隣家の外壁までの距離が近い((関連記事)
>>手塗りの外壁塗装だから足場に不要なのでは?【飛散防止のメッシュシート】
切妻・片流れ屋根の平屋の家
切妻・片流れ屋根の平屋の家は、足場が必要です。
切妻屋根
上記(画像)の屋根の形を「切妻屋根(きりつまやね)」、赤△部分を矢切(やぎり)と呼びます。
切妻屋根の平屋の家は、矢切(赤△)部分までの高さが3~6m近くあるため、外壁塗装するには足場が必要です。
片流れ屋根
下記(画像)の屋根の形を、「片流れ屋根(かたながれやね)」と呼びます。
(切妻屋根と同様)屋根のいちばん高い部分まで3~6m近く高さがあるため、外壁塗装するには足場が必要です。
切妻・片流れ屋根の平屋の家は、外壁以外に3m以上の高所となる付帯塗装箇所(軒天・破風板など)も多いため、足場なしで作業するのは危険すぎます。
切妻・片流れ屋根の平屋の家にお住まいのかたは、”足場なし”での外壁塗装はできないと思ってください。
(後述する)全面足場ではなく”部分足場”の交渉をしましょう。
(関連記事)
>>外壁塗装の『付帯部』はどこまで見積りされる?付帯塗装の費用20選
外壁の塗装面積が100㎡以上または建坪25坪以上
外壁の塗装面積が100㎡以上、または建坪25坪以上の平屋の家は足場が必要です。
なぜなら、脚立と道板を移動しながらの塗装となると作業量が多いため、(1日・2日と)日数単位で工期が長引いてしまうからです。
塗装業者は、工期が長引くと赤字になる恐れもあるため、”足場なし”での作業となると困ってしまいます。
とはいえ、見積りの㎡単価(塗装代)をむやみに高くすることはできません。
「足場なしで塗装できませんか?」とお願いしたとしても、塗装代金に少し上乗せ?もしくは「諸経費(人件費)をください!」と言われることになるでしょう。
業者次第では、足場代に近い金額で見積り(大幅な上乗せ)をされる可能性もあります。
足場代を安くしてもらうはずが、割高になってしまっては無意味だと思います。
100㎡以上、または建坪25坪以上の平屋の家は、「足場は必要!」ということを念頭において見積り依頼するほうが賢明といえます。
外壁の塗装面積が(関連記事)
>>外壁塗装の「単管・ビケ足場」の単価と費用相場【値引き可能なケースも解説!】
なし”で外壁塗装できる平屋の家の条件をまとめると、以下のとおりです。
”足場- 隣家の外壁までの距離が5m以上ある
- 切妻・片流れ屋根ではない
- 外壁の塗装面積100㎡未満または建坪25坪未満
上記の条件にすべて満たす平屋の家であれば、「足場なしでもできますよ!」という塗装業者はいると思います。
上記の条件にあてはまらない平屋の家の場合、足場なしで外壁塗装することはできません。
しかし、条件にあてはまらない場合でも、部分的に足場を設置することによって、足場代を安くすることは可能です。
つぎは、足場代を安くすることができる塗装業者について解説します!
足場なしは無理でも塗装業者次第で足場代は安くできる!
平屋の家の外壁塗装で、「足場なしでは無理です!」と業者から言われた場合、部分的に足場を設置して施工することはできないか?を確認して見ましょう。
部分的な足場の設置が可能であれば、費用を安くすることができるからです。
上記(画像)が単管と道板を使った”部分足場”になります。
「部分足場」とは、「脚立や道板だけで作業するのは困難(時間がかかる)」という箇所だけ設置する足場の事です。
たとえば、以下のようなケースが考えられます。
- 東面は隣家までの距離が近いため(5m未満)、東面だけ足場を設置する<1面足場>
- 切妻屋根の矢切部分の2箇所周辺だけ足場を設置する<2面足場>
- 片流れ屋根の高さのある面を中心に足場を設置する<3面足場>
上記のようなケースでは、必要最小限の足場しか設置しないため、足場代を安くすることが可能です。
しかし、すべての塗装業者が部分足場で外壁塗装してくれるという訳ではありません。
そのため、(塗装業者へ)見積り依頼するまえに、つぎに解説する質問をしてみてください。
足場は足場業者が設置するんですか?と質問してみる
「足場は足場業者が設置するんですか?」と質問すると、以下のようなことが予測できます。
足場業者が足場を設置する場合
大半の塗装業者は、足場業者に依頼(外注)して足場を設置します。
この場合、足場業者との取引関係が親密でないかぎり、部分的に足場を組む場合(100㎡未満)は割高になってしまいます。
*足場材の運搬と作業にかかる人数(人件費)は同じだからです。
足場業者は、(作業時間ではなく)半日とか1日単位で見積りしないと赤字になってしまいます。
そのため、(100㎡未満の部分足場は)以下のように1㎡あたりの単価が割高になる見積りがされることでしょう。
<通常>
- 200㎡ → 20万円(1㎡あたり1,000円)
- 150㎡ → 15万円(1㎡あたり1,000円)
<100㎡未満>
- 80㎡ → 9万6千円(1㎡あたり1,200円)
- 50㎡ → 7万円 (1㎡あたり1,400円)
- 30㎡ → 4万5千円(1㎡あたり1,500円)
支払う外注代金も高くなるため、「部分足場では作業できません!」と言われてしまう可能性もあります。
塗装業者が塗装業者が足場を設置する場合
自社で足場を設置する塗装業者であれば、部分足場に対応してくれる可能性は高いです。
なぜかというと、(部分的な足場の設置後)以下のようにその日のうちに高圧洗浄まで終わらせることができるからです。
午前 → 足場組立(塗装職人)
午後 → 高圧洗浄(塗装職人)
しかし、足場業者に外注する塗装業者の場合は以下のようになります。
1日目 → 足場組立(足場職人)
2日目 → 高圧洗浄(塗装職人)
上記のように、高圧洗浄が終わるまで2日必要です。
このように、自社で足場を設置する塗装業者であれば、通常2日かかる工程を1日で終わらせることができます。
そのため、平屋の外壁塗装を「部分足場」で依頼する場合、自社で足場を設置する塗装業者に見積りしてもらうのが最も良い方法です。
足場は足場業者が設置するんですか?」と質問してみてください。
見積りを依頼する際には、「平屋の家を「足場なし」や「部分足場」で外壁塗装する際のデメリット
平屋の家を”足場なし”や”部分足場”で外壁塗装することは可能ですが、デメリットも考えられます。
考えられるデメリットは以下の2つです。
- 工事期間が長引く可能性がある
- 塗装の仕上がりに”ムラ”がでることがある
工事期間が長引く可能性がある
”足場なし”や”部分足場”で外壁塗装した場合、工事期間が長引く可能性があります。
脚立と歩み板(道板)の上での作業は、少し不安定で塗装作業が遅くなるからです。
とははえ、細心の注意をしながら作業しないとケガや脚立から転落してしまう恐れもあるため、遅くなるのはしょうがないと言えます。
また、急いで作業してしまうと塗装の仕上がりが雑になりやすいです。
工事期間が長引く可能性があることは理解しておきましょう。
塗装の仕上がりにムラがでることがある
ごく稀にですが、塗装の仕上がりに”ムラ”がでることがあります。
脚立と歩み板を移動しながらの作業の場合、「高さ(手)がギリギリ届いた」など、塗装するのに困難な箇所が出てくるからです。
そうすると、塗料が乾燥する時間の差で仕上がりにムラがでてしまうこともあります。
しかし、そこはプロの塗装職人のため、足場がある場合と同様にきれいに仕上げてくれるケースがほとんどです。
きれいに仕上げるのが難しい場合は、そもそも足場なしや部分足場の見積もりはしないと思います。
おわりに
平屋の家を外壁塗装する場合、「足場は本当に必要なのか?」について解説させていただきました。
平屋の外壁塗装を検討する際、この記事の内容を少しでも役立てて頂けると幸いです。
「足場なし」の条件にあてはまらない場合は、足場代が(少しでも)安くなるように「部分足場」の交渉をしてみてください。
「足場なし・部分足場」で外壁塗装してくれる塗装業者は、工事の受注というのはもちろんですが、「少しでも安くしてあげたい!」という善意もあります。
じっさいに工事する職人は、「できれば足場があるほうが良い!」というのが本音です。
足元が不安定な状態で作業するため、工事が長引くことを良く理解したうえで依頼するようにしましょう。
くれぐれも「まだ終わらないの?」など、工事を急がせるような言葉を口にしないように注意してください。
そうすれば、職人のケガなどのトラブルも少なくなるだけでなく、塗装の仕上がりもきっと良くなると思います。
最後まで記事を読んでいただき、ありがとうございました。