こんにちは、マサキ工房です。
21年間のリフォーム営業と工務5年の経験をもとに、「住まいのリフォームに関する悩みや疑問を解決する記事(情報)」をお届けしているブログです。【2016年11月~小さな工務店を経営】
僕はこれまで、外壁塗装の見積り(商談)を2,000件以上、そのうち1,200軒以上の契約・完工を経験してきました。
外壁塗装の見積りでは、(以下のように)お客様から”足場面積”に関する質問をされるケースも珍しくないです。
こんにちは、奥様。先日は、見積りさせて頂いてありがとうございました。その後、ご主人と相談されてみてどうでしたか?
あら、マサキ工房さん。まだ、どこにするか決めてないんですよ。ちょうどよかった!ちょっと、質問しても良いですか?
はい、良いですよ。
見積書をみて疑問に思ったんですけど、なぜ業者によって足場の面積が違うんですか?
それはですね、業者によって計算方法が違うからなんですよ!
どうして計算方法が違うんですか?
う~ん。会社の方針とか、考え方の違いというか・・。
業者によってけっこう面積が違うんですよ。だから決めるのに迷っちゃって・・・。
迷ったまま業者を決めると良くないと思いますので、足場面積が違う理由を今からご説明しますね。
はい、お願いします!
外壁塗装の足場面積が塗装業者によって違う理由は?
「足場面積が業者によって違う理由」は、足場の外周(長さ)や設置する足場の高さがそれぞれの業者で違うからなんです。
えっ、そうなんですか!
場合によっては、足場面積が20~30㎡以上違うということもあります。
だから、見積りした他の2社をくらべると30㎡以上も違うわけですね。なんか不安になっちゃって・・。
それは間違いなく計算に用いる足場の外周(長さ)、もしくは高さが2社とも違うはずです。
どのくらい違うんですか?
おそらく足場の外周が数m、高さが1mくらい違うと思います。
そんなに違うんですか・・。
不安なままだと良い工事にはならないと思いますので、もっと分かりやすく説明しますね!
外壁塗装の足場面積を計算する方法
足場面積の計算式は以下の通りです。
足場面積 = 足場の外周(長さ)× 設置する足場の高さ
足場面積を計算するためには、まず「足場の外周(長さ)」と「設置する足場の高さ」を算出する必要があります。
足場の外周(長さ)の違い
足場は建物よりも50㎝外側に設置するため、その分の長さをプラスする必要があります。
たとえば、上記のように東・西・南・北面の外壁の長さがすべて7mの総2階建て住宅の場合。
南面で計算すると、足場は50㎝外側に設置するため(7m+50㎝+50㎝)=8mです。
そうすると、南面に設置する足場の横幅(長さ)は8mということになります。
残りの東・西・北面も同じように計算して合計すると、足場の外周(長さ)は以下のとおりです。
足場の外周 = 8m+8m+8m+8m = 32m
ところが、なかには建物の外周にプラスする長さを(50㎝+50㎝)ではなく、(60~100㎝+60~100㎝)で計算する業者も少なくありません。
例えば、プラスする長さを(80㎝+80㎝)で計算したとすると、(7m+80㎝+80㎝)=8.6mです。
東・西・南・北面を合計すると、以下のように34.4mとなります。
足場の外周 = 8.6m+8.6m+8.6m+8.6m = 34.4m
(50㎝+50㎝)の場合の外周は32m、(80㎝+80㎝)の場合は34.4mとなるため、(34.4m-32m)= 2.4m 外周は長くなるということです。
何㎝プラスするのかによって、足場の外周はm単位で変わってきます。
このように、外壁の長さに(2.4m外周が長くなると)高さ6mと7mのケースで計算した場合、以下のようになります。
2.4m × 6m = 14.4㎡
2.4m × 7m = 16.8㎡
上記のように、14.4~16.8㎡も足場面積が違ってくる(多くなる)という訳です。
設置する足場の高さの違い
設置する足場の高さの計算も、業者によって異なります。
外壁塗装をローラー施工する場合、足場の高さは6~6.5mくらい必要となります。
高さが6m未満です。
戸建て住宅の大半は、軒(屋根のいちばん低いところ)までのそのため、同時に屋根塗装を行わない限りは、6.5m以上の足場を設置する必要はありません。
(関連記事)外壁の足場代とは別料金!屋根足場が必要となる屋根勾配の目安は?
足場面積は、高さを何mで計算するのかによって、その差は大きくなります。
たとえば、外周が36mの場合。
36m × 6m(高さ)=216㎡
36m × 7m(高さ)=252㎡
*252㎡ - 216㎡ = 36㎡の差
上記のように、計算に使用する高さが1m違うと足場面積は36㎡の差が出ます。
仮に、足場の1㎡あたりの単価が1,000円(税込)の場合。
36㎡×1,000円=36,000円となるため、金額の差も大きいです。
多めに計算して、足場単価を相場よりも安く見積りする業者もあるため注意する必要があります。
また、なかにはわざと足場面積を*足場単価を安くすることで、足場代を安くしているように見せるためです。
あまりにも足場面積が広すぎると感じたときには、「設置する足場の高さは何メートルですか?」と質問してみてください。
そのほうが業者を選ぶ際に、安心できると思います。
奥様。ちなみに今回の見積書では、高さ6mで足場面積を計算しています。
そうなんですね、ありがとうございます!
足場面積の目安と坪数ごとの早見表
奥様、足場面積が業者によって違う理由については、ご理解して頂けましたか?
よくわかりました。でも、足場はどうせ解体するわけだし、できるだけ面積は少なく計算してもらえると嬉しいんですけどね。
こればっかりは、業者の考え方とか方針がありますので、どうしようもないですね・・。
それに、自分で面積を計算して確認するとなると面倒くさそう・・。
おそらく、大半のかたはそう思われるでしょう。
もっと簡単な計算方法があると良いんですけどね。
あくまでも目安になりますが、簡単な計算方法がありますよ!
えっ、どんな方法ですか?
延床面積を使う計算方法です。誰でも簡単に計算できますので、ご紹介しますね!
足場面積の目安
外壁塗装の足場面積を実測して計算した場合、少ないケースで延べ床面積の約1.5倍、多くても約2.5倍くらいの面積になることが多いです。
たとえば、延べ床面積30坪(99㎡)の場合、
99(㎡)× 1.5倍 = 148.5㎡
99(㎡)× 2.5倍 = 247.5㎡
外壁塗装の足場面積=148~247㎡となります。
上記のように、延べ床面積が同じ場合でも、立地条件や家のつくりによって足場面積はずいぶん違ってきます。
立地条件や家のつくりで、足場の面積がずいぶん違ってくるのは以下のようなケースです。
足場面積が延べ床面積の約1.5倍
下記のようなケースでは、足場面積が延べ床面積の約1.5倍くらいになります。
- 足場を設置すると作業しにくい
- 塗装する箇所がまばらで脚立でも十分塗装可能
- 3~10坪くらいの建物の外壁塗装
上記のようなケースは、外壁全体ではなく部分的に足場を組んで、一部は脚立などを使用して塗装するため、足場面積は延べ床面積の約1.5倍くらい(もしくはそれ以下)になります。
なかには、外壁塗装面積よりも「足場面積のほうが少ない」というケースもあることでしょう。
(関連記事)平屋の外壁塗装で足場は本当に必要?塗装業者によっては不要になるケースも!?
足場面積が延べ床面積の約2.5倍
下記のようなケースは、足場面積が延べ床面積の約2.5倍くらいになります。
- 一般住宅よりも建物の高さがある
- バルコニー・吹き抜け(室内)・ロフト(屋根裏部屋)が広い
- 足場を設置する敷地に高低差がある
上記のケースのなかでも、とくに延べ床面積に含まれない「バルコニー・吹き抜け(室内)・ロフト(屋根裏部屋)」が広い場合、足場面積は多くなります。
”建物の高さ”や”敷地の高低差”についても、場合によっては延べ床面積の2.5倍以上になることもあるでしょう。
延べ床面積×2.0倍が足場面積の目安になります。
(上記に該当する項目はなく)平地に建設された一般的な戸建て住宅であれば、たとえば、延べ床面積30坪(99㎡)の足場面積の目安は、【 99(㎡)× 2.0倍 = 198㎡ 】です。
*あくまでも目安(平均値)になりますが、参考にしてみてください。
じっさいに見積書を作成する際には、僕もかならず実測して計算します。
(関連記事)
なぜ外壁塗装の『見積書の面積』は業者によって違うのか?【3種類の計算方法を解説】
足場面積早見表(20~70坪)
下記は、延べ床面積×2.0倍で計算した外壁塗装足場の面積を、坪数ごとにまとめた早見表です。
坪(㎡)<延べ床面積> | 足場面積(㎡) |
20坪(66㎡) | 132㎡ |
25坪(82.5㎡) | 165㎡ |
30坪(99㎡) | 198㎡ |
35坪(115.5㎡) | 231㎡ |
40坪(132㎡) | 264㎡ |
45坪(148.5㎡) | 297㎡ |
50坪(165㎡) | 330㎡ |
55坪(181.5㎡) | 363㎡ |
60坪(198㎡) | 396㎡ |
65坪(214.5㎡) | 429㎡ |
70坪(231㎡) | 462㎡ |
*足場面積(目安)= 延べ床面積 (㎡)× 2.0(倍)
見積もりした際、上記の足場面積よりも大きくかけ離れている場合は要注意です。
面積が多すぎる場合は、「足場の高さは何mで設置するのか?」質問してみましょう。
また、少なすぎる場合には「足場の単価が相場よりも高くないか?」を確認してみてください。
戸建住宅の外壁塗装でよく使われる足場の種類と単価
単管足場
「単管足場」は塗装面積が少ない場合や、狭小地などで使用する足場です。
クランプで自由に”単管と単管”を固定することができるため、足場の長さや高さを自由に調整できるという特徴があります。
作業性はビケ足場より劣るものの、塗装の仕上がりには影響はなく足場費用も安いです。
作業する足元には単管を横に2本ならべたり、木の道板を固定するなどして塗装作業をします。
ビケ足場に比べ、設置や解体に時間がかかるというのがデメリットです。
足場業者ではなく、塗装職人が足場を設置する場合によく使用します。
足場単価の相場は、養生メッシュシート込みで1㎡あたり700~1,000円(税込)です。
単管ブラケット足場
単管足場の足元部分にブラケットと呼ばれる鋼製の道板やさまざまな役物を使用する足場です。
単管足場よりも足元が安定しやすいため、塗装作業もしやすくなります。
こちらも塗装面積が少ない場合や、狭小地などで主に使用します。
足場単価の相場は、養生メッシュシート込みで1㎡あたり800~1,100円(税込)です。
ビケ(クサビ)足場
ビケ(クサビ)足場とは、ハンマー1本で組み立てることができる足場のことで、正式名称は「クサビ緊結式足場」と言います。
足場の緊結部分をクサビで連結して固定することができ、狭いスペースでも設置可能というのが特徴です。
大半の業者が外壁塗装の現場で使用するのがビケ足場です。
建物の形状に応じて足場の高さ・長さを調整できることのほか、設置・解体が短時間で可能・足場が安定していて塗装の作業がしやすい等の特徴もあります。
そのため、複雑な形状の建物を外壁塗装するケースでも、問題なく足場を組み立てることが可能です。
足場単価の相場は、養生メッシュシート込みで、1㎡あたり900~1,200円(税込)です。
>>外壁塗装の「単管・ビケ足場」の単価と費用相場【値引き可能なケースも解説!】の記事を参考にしてみてください。
足場の種類や費用相場【20~70坪】については、(関連記事)
最後に
外壁塗装の見積もりを依頼した際、足場面積の計算に使われる、足場の外周(長さ)や設置する足場の高さの算出方法は業者によって違います。
そのため、外壁塗装で相見積もりをした際、「何で足場面積がこんなに違うの?」と、お客様が疑問に思われるケースは少なくないです。
僕もこれまでに少なくとも300回以上は、お客様から質問されたと思います。
このようなケースでは、足場面積や単価というより”合計金額”で判断するのが賢明と言えます。
足場面積の計算に用いる数字(数値)が業者によって違う以上、面積が異なるのは当然のことだからです。
ただ、面積を多めに出して単価を相場よりも安く見積もりする塗装業者については、「本当に信頼できるのか?」と、個人的にはどうしても疑問に思ってしまいます。
しかし、安いに越したことはないと思いますので、そういうケースに出くわした時にはトータルで考えると良いのかも知れません。
これから見積もりを依頼されるかたは、「外壁塗装の足場面積は業者によって違う!」ということを念頭に置いて見積書を確認してみてください。
そうすれば、足場面積の違いで惑わされることなく、業者選びも上手くいくと思います。
最後まで記事を読んでいただき、ありがとうございました。