こんにちは、マサキ工房です。
21年間のリフォーム営業と工務5年の経験をもとに、「住まいのリフォームに関する悩みや疑問を解説する記事(情報)」をお届けしているブログです。【2016年11月~小さな工務店を経営】
えーっと、○○ペイントさんの足場代は23万、○○技研さんの足場代は18万・・、マサキ工房さんは20万・・・。
塗装代金は、塗料が違うから金額に差があるのはわかるんだけど、なぜ足場代もこんなに違うんだろう??
外壁塗装は、(上記のように)複数社の見積りを取ると、大半のケースで足場代に差が出ます。
「数万~10万円近く違う」というケースも珍しくないです。
僕はこれまで、外壁塗装の見積り(商談)を2,000件以上、そのうち1,200軒以上の契約・完工を経験してきました。
外壁塗装で使用する足場は”ビケ”が主流ですが、塗装業者によっては(単管など)単価の安い足場を設置することもできます。
作業に問題がなければ、できるだけ「足場代は安いほうが良い!」というかたも少なくないのではないでしょうか?
この記事では、外壁塗装工事で使用する「単管・単管ブラケット・ビケ(クサビ)足場」について、それぞれの特徴や単価・費用相場(20~70坪)を解説しています。
記事を読むことで、足場代が「妥当な金額なのか?」や「値引き可能なケース」も分かります。
外壁塗装の見積書を確認する際、ぜひ記事の内容を参考にしてみてください。
外壁塗装の足場は3種類!【特徴や単価相場】
外壁塗装工事で使用する足場は、おもに以下の3種類です。
- 単管
- 単管ブラケット
- ビケ(クサビ)足場
それぞれ特徴は異なり、1㎡あたりの単価(設置・解体費用)も違います。
単価の相場を把握していないと、見積書をみたときに「適切な価格かどうか?」を判断するのは難しいです。
3種類の足場の特徴や単価相場を順番に解説します。
単管足場
「単管足場」は、外壁塗装の面積が少ない場合や、狭小地などで使用する足場です。
クランプ(金物)で単管と単管を固定することができるため、足場の長さや高さを自由に調整できるという特徴があります。
“ビケ足場”にくらべ作業性は劣るものの、塗装の仕上がりに影響はなく足場費用も安いです。
作業する足元には上記(画像)のように単管を横に2本ならべたり、木の道板を固定するなどして塗装作業をします。
ビケ足場に比べ、設置や解体に時間がかかるというのがデメリットです。
戸建住宅において、足場業者が”単管足場”を使用するケースは少なく、おもに塗装職人が足場工事をする際に使用する足場といえます。
「単管足場」の単価相場は、足場に取付ける飛散防止ネット代(メッシュシート)も含め、1㎡あたり700~1,000円です。
単管ブラケット足場
「単管ブラケット足場」は、足元部分にブラケットと呼ばれる鉄製の部材をボルトで締めて固定し、その上に道板(鉄製)を設置して使用する足場です。
高さ15メートルまで設置可能なため、3階建て住宅にも対応することができます。
単管足場よりも足元が安定するため、塗装作業しやすいというのがメリットです。
しかし、ボルト締めしながら設置していくため、足場の設置・解体に時間がかかるというデメリットもあります。
「単管ブラケット足場」の単価相場は、1㎡あたり800~1,100円(メッシュシート込)です。
ビケ(クサビ)足場
「ビケ(クサビ)足場」とは、ハンマー1本で組み立てることのできる足場のことで、正式名称は「クサビ緊結式足場」といいます。
一般的には、”ビケ足場”で呼ぶことのほうが多いです。
足場の緊結部分をクサビで連結して固定することができ、狭いスペースでも設置可能というのがメリットです。
建物の形状に応じて足場の高さ・長さを調整できる、設置・解体が短時間で可能・足場が安定していて塗装作業がしやすい等のメリットもあります。
そのため、ビケ足場を使用(見積り)する塗装業者は多いです。
しかし、足場業者へ外注するケースが大半のため、ほかの足場とくらべ設置費用が高いというデメリットがあります。
「ビケ(クサビ)足場」の単価相場は、1㎡あたり900~1,200円(メッシュシート込)です。
足場面積が少ないと割高になる?
足場工事は、面積が少ないほど1㎡あたりの単価は割高になります。
通常の単価では、人件費がでないケースもあるからです。
(部分的に設置する足場など)足場面積が100㎡未満の単価は1~2割増し(もしくはプラス諸経費)になるケースが多いです。
たとえば、足場単価は以下のようになります。
- 200㎡ → 20万円(1㎡あたり1,000円)
- 100㎡ → 12万円(1㎡あたり1,200円)
- 50㎡ → 7万円(1㎡あたり1,400円)
上記のように、足場の面積が少なくなるほど1㎡あたりの単価は割高になります。
外壁塗装の面積が少ない)かたは注意してください。
足場面積の少ない(=足場の種類ごとの施工単価をまとめると、以下のようになります。
足場の種類 | 1㎡あたりの単価(円/㎡) |
単管 | 700~1,000 |
単管ブラケット | 800~1,200 |
ビケ(クサビ) | 900~1,200 |
*単価は設置・解体とメッシュシート代(1㎡あたり100~200円)を含みます。
外壁塗装の見積書を確認する際には、上記を参考にしながら「1㎡あたりの単価」を確認してみてください。
そうすることで、足場代が適切な価格かどうか?を判断することができます。
(関連記事)
>>手塗りの外壁塗装だから足場に不要なのでは?【飛散防止のメッシュシート】
足場費用の計算式と費用相場【20~70坪】
足場費用の計算式
外壁塗装の足場費用の計算式は、以下のとおりです。
足場費用 = 足場単価(円/㎡)× 足場面積(㎡)
「足場単価」は、(メッシュシート込で)単管足場の1㎡あたり700円が最安値・ビケ足場の1,200円が最高値です。
そのため、1㎡あたり700~1,200円が足場単価(円/㎡)の相場になります。
見積書に記載してある足場の種類と単価を比べてみてください。
「足場面積」は、業者の方針によって計算方法が違いますが、平均すると”延べ床面積の2倍”くらいになります。
たとえば、延べ床面積30坪の場合 → 30(坪)×3.3(㎡)× 2 = 198㎡です。
安く見積りする業者も珍しくないため注意してください。
ただし、足場面積を多めに計算して、単価を(関連記事)
>>なぜ外壁塗装の足場面積は塗装業者によって違うのか?その理由と計算方法を解説!
足場の費用相場【20~70坪】の早見表
下記は、(飛散防止ネット代を含む)1㎡あたり700円(単管足場)~1,200円(ビケ足場)の費用相場【(延べ床)20~70坪】の早見表です。
坪(㎡) | 足場面積(㎡) | 費用相場(円) |
20坪(66) | 132 | 92,400~158,400 |
25坪(82.5) | 165 | 115,000~198,000 |
30坪(99) | 198 | 138,600~237,600 |
35坪(115.5) | 231 | 161,700~277,200 |
40坪(132) | 264 | 184,800~316,800 |
45坪(148.5) | 297 | 207,900~356,400 |
50坪(165) | 330 | 231,000~396,000 |
55坪(181.5) | 363 | 254,100~435,600 |
60坪(198) | 396 | 277,200~475,200 |
65坪(214.5) | 429 | 300,300~514,800 |
70坪(231) | 462 | 323,400~554,400 |
上記の早見表にあるように、1㎡あたり700円(単管)と1,200円(ビケ)のケースで計算すると、(30坪のケースで)約10万円も費用は違ってきます。
1㎡あたりの単価が数百円の違いとはいえ、足場費用の差は大きいです。
(関連記事)
>>外壁塗装の工程ごとに『見積書のチェックポイント15箇所』と単価・費用相場を徹底解説!
外壁塗装工事は、”会社の方針”や足場専門業者との取引内容によって、塗装業者で使用する足場の種類が違います。
大半の業者は、自社ではなく(外注する)ビケ足場を使用するため、”単管足場は安い”ということが分かっていても、足場の種類を指定するのは困難です。
「依頼したいなあ」と思う塗装業者の足場代が他社よりも高い場合、決断するのに迷うかたも少なくないと思います。
「足場代を値引きしてもらえないだろうか?」、という意見のかたも少なくないことでしょう。
そこで次は、依頼したいと思った業者の足場代が高かった場合、値引きしてもらうことは可能なのか?について解説します。
足場代が値引き可能なケースは?
外壁塗装の足場代は、基本的には値引きできません。
各塗装業者が安全性・作業性を考慮して見積もりした金額だからです。
しかし、以下のようなケースであれば少しくらいは安くできるかも知れません。
相見積もりして依頼する業者がほぼ決まっているケース
このように、ほぼ「この業者に依頼しようかな」という場合には、足場代の値引きをお願いしてみてください。
上記の例のように、足場の種類や工事日程などを業者側が考慮すれば、値引きしてもらえるケースもあるからです。
実際に、他の業者の足場代が安く見積もりしてあれば、なおさら値引きのお願いをしやすくなります。
ただし、足場の値引きはどんなに頑張っても5万円くらいまでが限度です。
「足場単価の差額×面積(㎡)」の金額分くらいが値引きの限度(目安)、と思ってください。
足場代を値引きしてもらうと手抜き工事にならないの?
足場の種類を変更して、足場代を値引きしてもらうケースでは、手抜き工事の心配は必要ありません。
しかし、大幅な値引きをされる場合は、「手抜き工事されない」とは言い切れないなため注意が必要です。
なかには、「会社の方針で足場業者が組むビケ足場しか使用しない」・「単管足場を組む塗装職人がいない」というケースもあります。
その際には、そもそも値引きしてもらうのは難しいと言えるでしょう。
いずれにしても、「この業者にお願いしようかな?」という段階になった際には、足場代の値引きをお願いしてみてください。
5万円くらいまでなら、値引きしてもらえる可能性はあります。
「足場代を無料にします!」は要注意!?
「足場代を無料にします!」と、声をかけてくる塗装業者(営業マン)には注意が必要です。
元リフォーム営業マンだからいえるのですが、「足場代を無料にします!」は完全なセールストークだからです。
僕が建築(リフォーム)業界に入った1990年代から、一部の業者(営業マン)がこの言葉を使っていました。
現在でも「足場代を無料にします!」、という業者(営業マン)は少なくないようです。
本当に無料にしているのかも知れませんが、その分(足場代金)を塗装価格のほうに上乗せしてある可能性があります。
そのため、3回塗り(標準施工)で1㎡あたり6,000円を超えるような見積もりには十分注意してください。
大手塗料メーカーの超高耐久塗料(フッ素・無機など)でも、設計価格が1㎡あたり5,000~6,000円くらいが費用相場だからです。
足場代が無料でも、その分(足場代金)を塗装価格のほうに上乗せしてあれば、無料とは言い切れません。
もし、足場代無料という業者の場合は、合計金額で判断するようにしてください。
そうしないと、次のようなことが起こってしまいます。
足場代無料の業者に見積もり依頼すると迷ってしまう?
<外壁塗装の相見積もりでよくある事例>
というのが、当たり前(通常)の会話だと思います。
ところが、いちど足場代無料という見積りをみてしまうと、(大半のかたは)足場代が有料の業者には工事を依頼する気になれなくなります。
これでは、良い業者かどうか?を判断するというより、足場代が無料の会社探しの状態に陥るだけです。
このようなケースで、見積りが3社とも合計金額100万円だった場合、以下のような心理状態になります。
業者名 | 塗装代(円) | 足場代(円) |
○○ペイント | 100万 | 無料 |
○○技研 | 100万 | 無料 |
マサキ工房 | 80万 | 20万 |
上記のように、まるでマサキ工房の見積もりした塗装代は、「○○ペイントや○○技研」よりもグレードの低い塗装工事のように感じてしまいます。
決して、そんなことはないのですが・・。
とはいえ、お客様が足場代を「無料もしくは少しでも安くしてもらえないだろうか?」と想う気持ちもわかります。
このようなケースでは、次のような展開になると理想的と言えるのではないでしょうか?
足場代無料の業者と比較して値引きしてもらう!
このように、「この業者に工事を依頼したい・依頼しようかな?」という場合には、足場代無料の業者のことを伝えて、値引きをお願いしてみてください。
そうすれば、少なくとも「足場単価(円/㎡)の差額×面積(㎡)」ぶんくらいは、値引きしてもらえる可能性はあるはずです。
いずれにしても、(足場代が本当に無料なのかは別として)足場代無料の業者に見積り依頼した際には、合計金額で判断するようにしましょう!
まとめ
外壁塗装で使用する「3種類の足場の特徴」や「単価・費用相場」について解説させていただきました。
外壁塗装の見積書を確認する際、この記事の内容を参考にして頂けると幸いです。
(記事のなかでもお伝えしましたが)もし、「足場代を無料にします!」という業者に見積もり依頼した場合は、合計金額に目を向けて判断するようにしましょう。
そうすれば、足場代無料の会社探しをしなくて済みます。
この業者に「工事を依頼したいなあ」という段階になれば、足場の”種類や単価”の差額に目を向けて値引き交渉すれば、きっと足場代は安くなるはずです。
最後まで記事を読んでいただき、ありがとうございました。