こんにちは、マサキ工房です。
21年間のリフォーム営業と工務5年の経験をもとに、「住まいのリフォームに関する悩みや疑問を解決する記事(情報)」をお届けしているブログです。【2016年11月~小さな工務店を経営】
外壁塗装は、(下塗り→中塗り→上塗り)の合計3回塗りが一般的な施工方法です。
しかし、なかには(下塗り2回→中塗り→上塗り)の合計4回塗りの外壁塗装を業者からすすられるケースもあります。
僕はこれまで、外囲壁塗装の見積り(商談)を2,000軒以上、そのうち1,200軒以上の契約・完工を経験してきました。
合計4回塗りの外壁塗装は、どうしても費用が高くなります。
「下塗りを2回もする必要あるの?」と疑問に思われるかたも少なくないはずです。
この記事では、合計4回塗りの外壁塗装についてメリットやデメリットを解説しています。
記事を読むことで、(我が家にとって)「下塗り2回の塗装が適切なのかどうか?」がわかります。
外壁塗装の見積もり依頼の際、ぜひ記事の内容を参考にしてみてください。
外壁塗装の下塗りを『2回』もする必要ある??
外壁塗装の下塗りを「2回」もする必要があるのでしょうか?
(結論から言うと)外壁の劣化状況次第では下塗りを「2回」したほうが良いです。
ベテランの塗装職人であれば、”あたりまえの作業”として認識していると思います。
そうしないと”キレイ”に仕上がらないからです。
僕はこれまで、(日本ペイント・菊水化学工業など)塗料メーカーの講習を6~7回受講したことがあります。
その中で、2000年頃だったと思いますが、とくにモルタル外壁の”スキン”や”かきおとし”と呼ばれる塗装の外壁の場合、当時から下塗り「2回」の施工をメーカー側から強く要望(推奨)されていました。
その理由は、スキンやかきおとしの上に塗装すると、塗料の吸い込みが激しいからです。
この場合、下塗りを「2回」することで、上塗りの吸い込みを最小限に抑えることができます。
そうすれば、上塗りよりも”下塗りの材料”の価格は安いため、上塗りを2回するよりも施工費を安くすることが可能です。
それ以外は、標準施工とされる(下塗り→中塗り→上塗り)の合計3回塗りの施工をすれば、塗料の耐用年数に問題はありません。
3回塗りを標準施工”とする上塗り塗料がほとんどです。
実際、各塗料メーカーの製品は、(下塗り→中塗り→上塗り)の”しかし、なかには(外壁の状態に関係なく)すべての住宅に下塗り2回の施工をする塗装業者もあります。
なぜ、「下塗り2回」を”標準施工”とする塗装業者があるのでしょうか?
外壁塗装の下塗りを「2回」するメリットは5つある
ここでは、1990年代から現在に至るまで、実際の現場を見続けた僕の経験をもとに「下塗りを2回するメリット」について解説します。
外壁塗装の下塗りを2回する(合計4回塗り)のメリットは、以下の5つです。
- 塗膜が厚くなるため防水効果が向上する
- 旧塗膜を確実に固めることができる
- 経験の浅い職人が作業する場合でも安心
- 塗装の仕上がりが良くなる!(塗装ムラがでにくに)
- 結局安くなるケースも!?
2-1.塗膜が厚くなるため防水効果が向上する
下塗りを2回すると、下塗り1回よりも「防水効果が向上する」というメリットがあります。
下塗りを2回することで塗膜が厚くなるからです。
たとえば、下塗りを”厚手の紙”とすると、”1枚よりも2枚のほうが防水効果は高い”というのはイメージして頂けると思います。
上塗りの樹脂によって耐用年数は違いますが、経年で防水(撥水)効果が徐々になくなってくると、外壁は雨水(湿気)を吸い込むようになります。
しかし、下塗りを2回しておけば1回よりも塗膜が厚くなるため、経年による雨水の吸い込みを抑える(遅らせる)ことができるというわけです。
2-2.旧塗膜を確実に固めることができる
”旧塗膜を確実に固めることができる”のも、下塗りを2回するメリットと言えます。
とくに、”劣化が激しい”もしくは”塗膜を厚く”吹き付けしてあるリシン塗装には効果的です。
「リシン」とは、下記(画像)の表面が砂状に”ザラザラ”した塗装のことです。
おもにモルタル外壁の塗装に使用されますが、ALCやサイディング外壁に塗装してあるケースもあります。
外壁がリシン塗装で劣化が激しい場合、下塗り1回だけでは”塗料の吸い込みが止まらない”というケースがあります。
つぎの”中塗り”作業をしてもローラーにリシンの砂粒がついたり、上塗りの材料まで吸い込んでしまう!ということも珍しくありません。
このような場合、大半は中塗り・上塗りで吸い込みを止めることは可能です。
しかし、(上塗りの色によっては)最悪の場合、通常よりも多く”重ね塗り”をしないとキレイに仕上がりません。
上塗りの材料が足らなくなったり、工事期間が長引くケースも少なくないです。
下塗り2回の施工は、(旧塗膜を確実に固めることができるため)「上塗りの材料が足らなくなる心配は不要!」というメリットがあります。
2-3.経験の浅い職人が作業する場合でも安心
塗装してもらうなら、「ベテランの腕の良い職人に作業してもらいたい!」と思いませんか?
外壁塗装工事では、ベテランだけではなく”経験の浅い職人”が作業するケースもあります。
ベテランの職人になると、塗料を均一に塗っていく技術だけでなく、前述した吸い込み(劣化)が激しい箇所を自分の目で判断して、塗布量を調整しながらの作業が可能です。
しかし、経験の浅い職人の場合、どうしても均一に塗ることや調整しながらの作業はむずかしいと言えます。
最初から下塗りを「2回」すれば、経験の浅い職人でもほぼ確実に塗料の吸い込みムラを止めることができます。
経験の浅い職人(若者)が作業した場合でも安心!というのも、下塗りを「2回」するメリットです。
2-4.塗装の仕上がりが良くなる!
下塗り2回の施工は、「塗装の仕上がりが良くなる!」というメリットがあります。
たとえば、フィラー系の下塗り材を使用して下塗りを2回する場合、
1回目に”シーラー系”の下塗り材で吸い込みを抑え、2回目に”フィラー系”の下塗りで整える(凹凸を滑らかにする)といった施工をします。
下塗り1回目 → シーラー系
下塗り2回目 → フィラー系
下地の吸い込みが激しい”場合、とくに有効な施工方法です。
上記は”たとえば、(以下の外壁の状態で)上塗りをした際、AとBのどっちが”キレイ”に仕上がると思いますか?
A:表面がざらざら(凹凸)の状態に上塗り
B:表面がなめらか(平滑)な状態に上塗り
上記の場合、「B:表面がなめらか(平滑)な状態に上塗り」のほうが”キレイ”に仕上がるということを、イメージして頂けるのではないでしょうか。
下塗りを「2回」しておくほうが、(下塗り1回よりも)表面がなめらか(平滑)になるため、「塗装の仕上がりが良くなる!」というメリットがあります。
2-5.結局安くなるケースも!?
下塗りを「2回」すると、結局は安くなるのでは?というケースも考えられます。
フッ素や無機など高額な塗装をする際、上塗り塗料が足らなくなると”追加発注”しないといけません。
これは、塗装業者にとって大変な痛手(利益マイナス)です。
塗料や色しだいでは、1缶あたり10万円以上するものも珍しくないため、契約金額によってはほとんど利益がでないケースも考えられます。
塗料の吸い込みが激しいので「追加料金をください!」、と言われてしまう可能性もあります。
最初から下塗りを「2回」しておけば、このような心配が少なくて済むのもメリットと言えるでしょう。
契約時に”追加料金”が発生しないかどうか?だけは確認しておきましょう!
下塗りを「2回」するデメリットは3つ!?
下塗りを「2回」する施工のデメリットは、以下の3つです。
- 契約金額が高くなる
- 工事期間が長引く
- 無駄な出費(作業)になる可能性がある?
3-1.契約金額が高くなる!
下塗りを2回する施工は、「契約金額が高くなる!」というデメリットがあります。
外壁塗装の下塗りは、使用する材料にもよりますが「1㎡あたり600~1,000円くらい」が施工単価(円/㎡)の相場です。
そのため、外壁塗装面積が120㎡(約30坪前後)の場合
600(円/㎡)×120(㎡)=72,000円
1,000(円/㎡)×120(㎡)=120,000円
上記のように、外壁塗装面積120㎡(約30坪)の場合、(下塗り1回分の)およそ7~12万円くらい施工費が高くなってしまいます。
「契約金額が高くなる!」というのは、もっとも大きなデメリットと言えるでしょう。
単価については、下記の記事で解説しています。
下塗りの種類と3-2.工事期間が長引く
下塗りの工程が1回増えると(その分の)作業・乾燥時間が必要になるため、1~2日くらい工事期間が長引きます。
もし、途中で雨が降る(続く)等のトラブルがあると、トータルで3~4日くらい長引くこともあるでしょう。
3~4日くらいは長引くこともあると考えておいたほうが無難です。
塗装工事は天気仕事のため”やむを得ません”が、トータルで下塗りを2回する施工は、「工事期間が長引く」というデメリットもあります。
(関連記事)
3-3.無駄な出費になる可能性がある?
下塗りを2回する施工は、無駄な出費になる可能性があります。
そもそも各塗料メーカーが発売している下塗りや上塗り材は、機能性や作業性が向上しているからです。
そのため、どの現場も下塗りを2回するというのは、「無駄な出費になる!」と考えることもできます。
下塗りを2回する施工は、(前述したように)「モルタルやコンクリート、ALC外壁」など、表面にリシンやスキン塗装をしてある場合に、以前から行われている施工方法です。
もしくは、既存の外壁(下地)の劣化が著しく激しい場合の施工方法だと思います。
下塗り2回ではなくても
- 下地に吸い込ませて固める浸透性系
- 膜厚をつける造膜系の下塗り材など
上記の下塗り材などを使用すれば、「通常の下塗り1回の施工で問題ない!」というケースも少なくないはずです。
よほど外壁の劣化が激しくない限り、下塗りを2回する施工は無駄な出費になる可能性があります。
無駄な出費 = デメリットといえるはずです。
(関連記事)
下塗りを2回したほうが良いケースは?
ここでは、下塗りを2回したほうが良いケースを4つご紹介します。
- モルタル外壁のリシンが著しく劣化している
- 「スキン」や「かきおとし」に塗装する場合
- 築15~20年以上で今まで1回も塗装したことがない
- 前回の塗装(新築時も含む)が劣化しており表面に凹凸がある
上記のようなケースは、(費用は少し高くなりますが)下塗り2回の施工を提案してくれる塗装業者をおすすめします。
下塗りを2回したほうが、耐久面で安心できるだけでなく塗装の”仕上がり”も良くなるからです。
しかし、上記のケースは最低でも塗装業界歴5年以上(できれば10年以上)の経験がある担当者(職人)でないと、判断するのは難しいかも知れません。
「下塗りを2回したほうが良い!」という判断は、(工事完了後の)経年劣化の様子を実際に見た経験がないと分からないからです。
近年の下塗り材は、”さまざまな状況に応じて使い分けができる”ほど種類が豊富です。
(上記に該当する場合でも)大半のケースは、”下塗り1回で大丈夫”と判断する業者(職人)が多いと思います。
もし、下塗り「2回」の施工をされた場合には、何かしらの根拠(おすすめする理由)があるはずです。
費用が高くなるからといって選択肢からはずすのではなく、根拠(理由)をしっかり聞いたうえで検討することをおすすめします。
価格競争の激しい中、わざわざ費用が高くなる提案をする”塗装業者はいない”からです。
契約を取るだけが目的ではなく)お客様の家に対して、親身になってくれる業者(担当者)の可能性が高いと思います。
おそらく、(塗装工事の*業者選びの際、参考にしてみてください。
なし(シーラーレス)の外壁塗装の場合も、根拠(おすすめする理由)をしっかり聞いたうえで検討しましょう。
下塗りまとめ
外壁塗装の下塗りを2回する施工(合計4回塗り)のメリットやデメリットを解説させて頂きました。
外壁塗装の見積り依頼の際、この記事の内容を参考にして頂けると幸いです。
とくに、外壁の劣化が激しいと感じているかたは、メリットやデメリットを考慮しながら検討してみてください。
最後まで記事を読んでいただき、ありがとうございました。