こんにちは、マサキ工房です。
21年間のリフォーム営業と工務5年の経験をもとに、「住まいのリフォームに関する悩みや疑問を解決する記事(情報)」をお届けしているブログです。【2016年11月~小さな工務店を経営】
(近年)外壁・屋根塗装の保証は、10年を超える”保証期間”の塗装業者も珍しくありません。
「本当に保証してくれるの?」という意見のかたも、少なくないのではないでしょうか。
僕はこれまで、外壁塗装の見積り(商談)を2,000件以上、そのうち1,200軒以上の契約・完工を経験してきました。
外壁・屋根塗装は、『保証期間』だけで塗装業者を選ぶと、工事完了後に後悔する可能性があります。
たとえば「10年保証」の場合、すべての劣化症状を10年間無料で手直しをしてくれる!というわけではないからです。
工事完了後のトラブル防止のためにも、(工事を依頼するまえに)劣化症状ごとの補償期間を確認しておくほうが賢明です。
この記事では、塗装業者がおこなう外壁・屋根塗装の「保証」について、メリットやデメリットなどを解説しています。
記事を読むことで、トラブル防止のために確認するべきポイントがわかります。
外壁・屋根塗装の業者選びの際、ぜひ記事の内容を参考にしてみてください。
外壁・屋根塗装の『保証期間』だけで業者を選ぶのはNG?
外壁・屋根塗装の『保証期間』だけで業者を選ぶのはNGです。
*塗装業者の「保証期間」は、(施工後に発生した)すべての劣化症状を無料で手直ししてもらえる期間(=補償期間)というわけではないからです。
保証と補償の違い
外壁・屋根塗装の「保証」は、品質を保証するなどの意味があり重点は”責任”です。
*しかし、(責任=無料で手直しする義務がある)とはなりません。
塗装業者次第では、「経年劣化によるものだからしょうがない!」といわれてしまう(逃げ道がある)のが現実です。
そのため、(かならずしも)保証期間は無料で手直しをしてもらえる(=もとの状態にもどしてくれる)というわけではありません。
一方、「補償」は損害や損失を補い償う(つぐなう)という意味があります。つまり、無料で手直しをしてくれるということです。
そのため、10年とか15年保証という場合でも、契約書や保証書に補償対象となる症状や補償期間の記載がなければ無料で手直しする義務はない(=口約束と同じ)というわけです。
塗装業者の保証はほとんどが「自社保証」
塗装業者の保証は、(ほとんどが)リフォーム瑕疵保険などの”第三者機関”ではなく「自社保証」です。
(工事を依頼するまえに)自社保証のメリットやデメリットを理解しておきましょう。
自社保証のメリット
自社保証のメリットは、”長期間”の保証です。
「保証期間」は、使用する塗料や業者によって違いますが、3~10年保証というケースが多くみられます。
*(15年保証など)10年を超える業者もあります。
保証年数が長いほどメリットは大きいといえるでしょう。
自社保証のデメリット
自社保証のデメリットは、塗装業者が倒産した場合に”保証が無効になる”ということです。
工事を依頼した業者が倒産してしまった場合、施工後の不具合(劣化症状)はほかの業者をみずから探して”有料”で手直しする必要があります。
また、保証期間内の”補償対象”を、かん違いしたまま契約してしまうこともデメリットといえるでしょう。
このように、塗装業者がおこなう”自社保証”には、上記のようなメリットやデメリットがあります。
保証期間が長いほどメリットは大きいですが、”倒産リスク”や保証内容(補償対象)も考慮して選ぶほうが賢明です。
(関連記事)
>>外壁・屋根塗装の保証は『リフォーム瑕疵(かし)保険』加入業者のほうが安心?
保証内容は大丈夫?トラブル防止のために確認するべきポイント
ここでは、外壁・屋根塗装の保証内容で(契約まえに)確認するべきポイントを解説します。
外壁塗装の保証内容で確認するポイント
外壁塗装の保証内容で確認するポイントは、以下の5つです。
- 外壁のひび割れ
- サイディング目地のコーキングの劣化
- 外壁の色あせ(変色)
- 外壁の塗膜の剥がれ・割れ等
- 付帯塗装の補償期間
1. 外壁のひび割れ
「外壁のひび割れの補償は何年なのか?」をかならず確認しましょう。
外壁のひび割れは、地震で建物が揺れることがおもな原因ですが、この場合は補償対象外になるのが一般的です。
しかし、ひび割れの原因が地震ではなく、下塗り塗料の選定ミスや手抜き工事という場合もあります。
ひび割れが起こりやすくなるため注意してください。
とくに、モルタル・ALC外壁に”シーラー系”の下塗りをすると、”フィラー・サーフ系”よりも(関連記事)
>>外壁塗装に使用する『下塗り塗料』は何種類?【単価相場と適用下地(外壁)】
2. サイディング目地のコーキングの劣化
「サイディング目地のコーキングの劣化は何年補償なのか?」もかならず確認しましょう。
サイディング目地のコーキング劣化は、補償期間が短い場合や対象外のケースもあるからです。
増し打ち”施工した場合や、「後打ち工法」は劣化が早い(しやすい)ため注意してください。
とくに、サイディング目地のコーキングを”(関連記事)
>>外壁のコーキング補修工事(シーリング)の費用相場!【打ち替え・増し打ち・ヒビ割れ補修】
>>なぜサイディング目地のシーリング(コーキング)は「先打ち」する業者のほうが多いのか?
>>外壁塗装工事に使用するコーキング材の種類【特徴と使用用途】
3. 外壁の色あせ(変色)
外壁の色あせ(変色)については、「補償しません」という業者が少なくありません。
どんなに高耐久の塗装をした場合でも、かならず経年によって色あせ(変色)するからです。
しかし、塗料を規定外までうすめて塗装する(悪質業者などの)場合、塗料本来の性能が発揮されず、はやく外壁が色あせ(変色)してしまうケースもあります。
このようなケースに備えるという意味でも、外壁の色あせ(変色)の補償年数はかならず確認しましょう。
しやすい色で塗装するかたは注意してください。
とくに、(赤などの)色あせ(関連記事)
>>2回目の塗り替え現場でわかる!色褪せしにくい色とは?【日塗工の色見本帳で解説】
4. 外壁の塗膜の剥がれ・割れ等
外壁の塗膜の剥がれは、補償対象としている塗装業者がほとんどです。
しかし、塗膜の割れ等の症状は補償対象外のケースもあるため注意が必要です。
下記は、2回目の塗装現場の施工まえの写真です。コーキングは割れていませんが、前回(12~13年まえ)の塗装が割れています。
とつぜん、上記のように塗膜が割れることはないため、(おそらく)塗装後5~8年頃から少しずつ劣化していったはずです。
*剥がれや割れではなく、塗膜がふくれることもあります。
剥がれ」だけでなく「割れやふくれ」も補償対象になるのか?を確認してみてください。
「塗膜の5. 付帯塗装の補償期間
付帯塗装の補償期間は、外壁よりも短いのが一般的です。
*塗装業者次第では、補償対象外のケースもあります。
「付帯塗装の補償期間」は、(外壁と同じ期間と)”かん違い”したまま工事を依頼してしまうかたが少なくありません。
”業者の説明不足が原因”というケースも少なくないです。
補償対象となる付帯塗装箇所と”補償期間”をよく確認しましょう。
(付帯塗装が)補償対象外の場合は、ケレン作業の手抜きに要注意です!
(関連記事)
>>外壁塗装の『付帯部』はどこまで見積りされる?付帯塗装の費用20選
>>塗装工事の見積書に『ケレン』の文字はありますか?【手抜きされる原因と対処法】
屋根塗装の保証内容で確認するポイント
屋根塗装の保証内容で確認するポイントは、以下の3つです。
- 屋根の色あせ
- 塗膜の剥がれ
- 【重要】雨漏りの保証
1. 屋根の色あせ
屋根の色あせは、(外壁の色あせよりも)補償対象外とする塗装業者が少なくないです。
(直接あたる)紫外線の量も多く、雨(酸性雨)にもさらされ続けるため、色あせするのがはやいからです。
「屋根の色あせは補償対象になるのか?」をよく確認しましょう。
とくに、赤・青・緑系の色で塗装するかたは、色あせすると目立つため注意してください。
2. 屋根の塗膜の剥がれ
屋根の塗膜の剥がれは、補償対象としている塗装業者の割合が多いと思います。
しかし、(日常生活のなかで)お客様が下から屋根をみてもわかりにくいため、”塗膜の剥がれ”に気づくのは難しいといえます。
(気づいたときには)保証期間を過ぎていた、というケースもあることでしょう。
そのため、「補償対象になるのか?」の確認だけでなく、「施工後の定期点検をしてくれるのか?」も重要なポイントです。
塗装業者を比較する際、参考にしてみてください。
(関連記事)
>>塗装工事の高圧洗浄に必要な作業時間・乾燥の目安は?【3種類の洗浄方法の単価も解説!】
3. 【重要】雨漏りの保証
屋根塗装をする際には、「雨漏りの保証をしてくれるのか?」も確認してみてください。
築年数にもよりますが、(塗装業者次第では)補償対象としているケースもあるからです。
なぜ雨漏りの保証を確認するのか?を説明します。
今までなにも問題なかったのに、「屋根塗装をしたら雨漏りするようになった!」というケースがごく稀にあります。
これは、塗装する際に屋根材の縁切り作業が行われなかったことで、”毛細管現象”を引き起こすことがおもな原因です。
とくに、(コロニアルなど)スレート屋根を塗装する際には注意する必要があります。
屋根材の縁切りとは?
屋根材の縁切りとは、カッターなどの道具を使って(上記画像の赤枠部分)屋根材と屋根材のすき間をあける(塗料をカットする)作業のことです。
*縁切りしてすき間をあけることで、”毛細管(もうさいかん)現象”が起こりにくくなります。
毛細管現象?
屋根塗装をすると、塗料で屋根材同士がところどころ密着してしまうため、雨水がこまかいすき間から侵入して(中に入り込み)雨漏りしてしまいます。
これを「毛細管現象」といいますが、築年数が古くなるほど屋根材のしたにあるルーフィング(防水紙)も劣化しているため、屋根塗装の際には注意が必要です。
雨漏りの保証をしてくれるのか?」も確認しましょう。
屋根塗装をするかたは、「上記の「外壁・屋根塗装の保証内容で確認するポイント」は、事前確認することで施工後のトラブル防止になります。
違うため十分注意してください。
塗装業者の「自社保証」は、(塗装箇所や劣化症状ごとに)補償対象や期間も塗装工事の保証期間は何年が妥当なのか?
塗装工事の保証期間は、「何年くらいが妥当なの?」と疑問に思ったことはありませんか。
ここでは、外壁・屋根・付帯塗装の保証期間の目安について解説します。
外壁塗装の保証期間(目安)
外壁塗装は、ウレタン塗装(耐用年数5~8年)・シリコン塗装(耐用年数8~12年)・フッ素塗装(耐用年数15~18年)で比較します。
外壁塗装の保証期間の目安は、以下のとおりです。
劣化症状 | ウレタン | シリコン | フッ素 |
外壁のひび割れ | 1~3年 | 3~7年 | 5~10年 |
目地のコーキング | 1~3年 | 3~5年 | 3~5年 |
色あせ | 1~3年 | 3~5年 | 5~7年 |
剥がれ・割れ等 | 3年 | 5~7年 | 7~10年 |
上記の保証期間の目安は、(手抜き工事をしなければ)不具合がでることはない!ともいえる年数です。
*保証期間(年数)のあいだに、なにも不具合(劣化症状)がでなければ、耐用年数に近い耐久性も期待できます。
記載がない場合は、(=口約束と変わらないため)注意してください。
また、上記以上の保証期間があると安心ですが、(契約書や保証書に)”補償対象・期間”の屋根塗装の保証期間(目安)
屋根塗装も(ウレタン・シリコン・フッ素)塗装で比較します。
ただし、屋根は(紫外線や酸性雨の影響で)外壁よりも劣化がはやいため、同じ塗装をした場合でも保証期間が短くなるのが一般的です。
屋根塗装の保証期間の目安は、以下のとおりです。
劣化書状 | ウレタン | シリコン | フッ素 |
色あせ | 1~3年 | 3~5年 | 3~5年 |
剥がれ等 | 1~3年 | 3~5年 | 5~7年 |
雨漏りの保証 | 1~3年 | 1~3年 | 年 |
屋根塗装の保証期間で注意するポイントは、塗装の種類に関係なく雨漏りの保証は1~3年が妥当ということです。
塗装後1~3年のあいだに雨漏りしなかった場合、
(前述した)屋根材の縁切り(またはタスペーサーの取付け)は、”キチンと行われている”と判断することができるからです。
そのため、塗装後3~4年目以降に雨漏りした場合は、屋根材の経年劣化などが原因で雨漏りしている可能性が高いといえます。
また、築年数が15~20年以上で屋根材がひどく劣化している場合は、そもそも雨漏りの保証をしてもらうこと自体が難しいと思います。
(外壁塗装と同様)補償対象・期間の記載に注意してください。
付帯塗装の保証期間(目安)
(雨樋・破風板などの)付帯塗装は、一般的には「色あせ・塗装の剥がれ」等が補償対象となります。
付帯塗装の保証期間の目安は、以下のとおりです。
劣化症状 | 木部 | 鉄部 | プラスチック系 |
色あせ | 1~2年 | 1~3年 | 0~1年 |
剥がれ等 | 1~3年 | 1~5年 | 0~1年 |
付帯塗装は、(ケレンなどの下地処理を)「どこまで入念に作業するか?」や使用する塗料によって耐用年数に差がでます。
しかし、外壁や屋根とくらべると長持ちしにくいため、”保証期間は短い”というのが一般的です。
雨樋などの塩ビ(プラスチック系)素材については、どうしても紫外線(熱)で変形するため”保証なし”とする業者も少なくありません。
とくに、雨樋の色を変える場合は、塗装が剥げたときに(もとの色が)目立つため注意してください。
(関連記事)
ベランダ防水の保証期間(目安)
ベランダ(バルコニー)のあるお住まいは、外壁塗装の足場を設置したタイミングでベランダ防水工事をするのが一般的です。
しかし、(手抜き工事をすると)雨漏りの原因にもなるため注意する必要があります。
ベランダ防水の保証期間の目安は、以下のとおりです。
劣化症状 | トップコート | ウレタン防水 | FRP防水 |
剥がれ等 | 1~3年 | 3~5年 | 5~7年 |
雨漏り | 1~3年 | 3~5年 | 5~7年 |
*戸建て住宅のベランダ防水工事は、大半は(ウレタンまたはFRP)防水です。
ベランダ防水工事は、それほど傷んでいない場合は、(仕上げの塗装)トップコートの塗り替えだけを行います。
傷んでいる場合は、(ウレタンやFRP防水など)防水層からつくりなおす完全防水をするのが一般的です。
しかし、トップコートOR完全防水の判断は、複数社の見積りをとらない限りどちらが正しいのか?はわかりません。
トップコートの塗り替えだけをおこなった場合は、”保証なし”とする業者も少なくないため注意が必要です。
1年は雨漏りの保証もしてくれる塗装業者をおすすめします。
(施工方法に関係なく)最低(関連記事)
>>ベランダ防水工事の種類と費用相場【トップコートの塗り替えとは?】
塗装業者の見積書を確認する際には、上記の保証期間を目安にしてみてください。
トラブル防止のためにも、補償対象となる不具合(劣化症状)と補償期間もよく確認しましょう!
(関連記事)
まとめ
塗装業者がおこなう外壁・屋根塗装の「保証」について解説させて頂きました。
外壁・屋根塗装の業者選びの際、この記事の内容を参考にして頂けると幸いです。
(近年)無機などの超高耐久塗装の普及に伴ない、これまで以上に長期間の保証をする業者が増加傾向にあります。
しかし、もっとも重要なのは業者が主張する『保証期間』ではなく『保証内容』(=補償対象・期間)です。
施工後に不具合が起こった場合に、無料で手直し(対応)してもらえなければ、信頼して工事をお願いした意味がありません。
施工後に不愉快な思いをしないためにも、補償対象・期間を劣化症状ごとによく確認しましょう。
そうすればきっと、本当の意味で”優良業者”を選ぶことができるはずです。
最後まで記事を読んでいただき、ありがとうございました。