こんにちは、マサキ工房です。
21年間のリフォーム営業と工務5年の経験をもとに、「住まいのリフォームに関する悩みや疑問を解決する記事(情報)」をお届けしているブログです。【2016年11月~小さな工務店を経営】
なぜ我が家の外壁は、ご近所の家よりも「劣化しやすいんだろう・・」と疑問に思ったことはありませんか?
僕はこれまで、外壁塗装の見積もり(商談)を2,000件以上、そのうち1,200軒以上の契約・完工を経験してきました。
そのほとんどは、現場調査をしたうえでの見積もりです。
外壁の劣化症状(傷み具合)は、築年数が同じ場合でも家によってそれぞれ違います。
なかには、(お隣の家と)築年数は同じなのに、「我が家のほうが劣化している」というかたも少なくないことでしょう。
この記事では、「外壁が劣化する原因」と「劣化現象」について解説しています。
記事を読むことで、適切な塗り替え時期が分かります。
塗り替えの時期で迷っているかたは、ぜひ記事の内容を参考にしてみてください。
外壁が劣化する原因は?
外壁は新築から年数が経過するごとに、何らかの原因によって劣化してしまいます。
外壁の種類や環境によって原因は異なるため、起こる現象や劣化速度もさまざまです。
もし、築年数が同じ家の場合でも、それぞれ起こる現象や劣化速度は違います。
外壁が劣化するおもな原因は、以下の3つです。
- 紫外線
- 雨(酸性雨)
- 塗装の寿命(経年劣化)
1-1.紫外線
紫外線は、人間の肌に良くないと言われますが、外壁にも大きなダメージを与えます。
そのため、陽当たりの良い南側(ベランダ)を中心に色あせしやすいです。
陽当たりの良い家や紫外線の強い地域ほど、色あせなどの劣化現象は出やすいと言えます。
1-2.雨(酸性雨)
雨(酸性雨)も、外壁表面の塗装を傷めてしまう原因です。
紫外線と違って、外壁全体(東・西・南・北面)を劣化させてしまいます。
酸性雨と呼ばれます。
雨には酸性の成分が含まれていますが、二酸化硫黄・窒素酸化物などの不純物が多く含まれると酸性雨に含まれる不純物は、自動車の排気ガスなどで発生した大気汚染物質です。
そのため、雨や雪が外壁にあたってしまうと、表面の塗装を劣化させてしまいます。
外壁に雨があたりやすい家や・雪の多い地域などは、外壁の劣化がはやく起こりやすいと言えるでしょう。
1-3.塗装の寿命(経年劣化)
あまりにも劣化現象が多く見られるようであれば、塗装の寿命(経年劣化)の可能性が高いです。
外壁の表面に施してある塗装は、使用する塗料によって耐用年数(期待値)が違います。
そのため、耐用年数を過ぎてしまうと、色あせ・ひび割れ等が起きてしまいます。
築15年以上未塗装(塗装したことがない)場合は、「塗装の寿命(経年劣化)なんだな!」と思ってください。
つぎに解説する外壁の劣化症状が、いくつか見られるはずです。
外壁の劣化現象は家によって違う!?
「紫外線や雨(酸性雨)」によって、外壁が傷んでくるとさまざまな劣化現象が出てきます。
劣化現象が多く出てくるようになると、塗り替えのサインです。
外壁の劣化現象は、以下の7種類があります。
- カビや藻の発生
- 色あせ(褪色)
- ひび割れ(クラック)
- シーリング(コーキング)の劣化
- チョーキング(白亜化現象)
- 外壁の浮き・反り
- 塗装の剥離(はくり)・ふくれ
初期の劣化症状から順番に解説します。
2-1.カビや藻の発生
陽当たりの良くない外壁面(とくに北側)は、湿気が多いためカビや藻が発生します。
築2~3年くらいからでることも珍しくありませんが、外壁が濃い色の場合は気づかないということもあるでしょう。
築7~8年くらいまでは、カビや藻が発生したからと言って、塗装の防水効果が完全に無くなっているという訳ではありません。
しかし、外壁が常に湿気のある状態になるため、長い間放置し続けると外壁自体を傷めてしまう原因にもなります。
また、(塗料をエサにしてどんどん繁殖しくため)気が付いた時には外壁が緑色?というかたもいることでしょう。
8年以上であまりにも繁殖がひどいようであれば、早めの塗り替えをおすすめします。
築長期間放置すると、(外壁自体が水分を含んで)ボロボロになる可能性があるからです。
2-2.色あせ(褪色)
外壁の色あせ(褪色)は、陽当たりの良い外壁面(とくに南側)を中心に起こる現象です。
紫外線の強さや量に比例して進行していくため、陽当たりの良い家だと築5年前後から色あせが始まります。
色あせが始まると、「塗装の防水効果が徐々に無くなってきている状態」です。
長い期間放置すると、外壁の”部分張替え”などの補修費用が必要となるケースもあります。
あまりにも色あせがひどい場合は、築年数に関係なくできるだけ早めに塗り替えを検討したほうが良いでしょう。
色あせの劣化現象は、(塗装色による影響もあるため)塗り替え時の色選びの際には注意してください。
>>2回目の塗り替え現場でわかる!色褪せしにくい色とは?【日塗工の色見本帳で解説】
2-3.ひび割れ(クラック)
ひび割れ(クラック)の劣化現象は、地震などの揺れ(振動)によって亀裂がはいる場合もありますがごく稀です。
大半は、紫外線や酸性雨によって塗装が劣化してしまうのが原因です。
塗装が劣化すると素材自体が雨水を吸収しやすくなり、吸収→乾燥を繰り返すことで外壁が脆(もろ)くなってしまいます。
最初の頃は、髪の毛1本くらいの細いひび割れですが、徐々に大きくなっていきます。
部分的に張り替えしてから塗装するケースもあるため注意が必要です。
大きなひび割れになってしまうと、外壁をその分費用も高くなるため、小さいひび割れの段階でコーキング補修しておくことをおすすめします。
コーキング補修さえしておけば、内部への雨水の侵入も防ぐことができ、ひび割れも大きくなりにくいからです。
しかし、ひび割れのコーキング補修はあくまでも”応急処置”です。
2-4.シーリング(コーキング)の劣化
サイディングの継ぎ目(目地)やサッシまわり等、すき間を埋めるためにゴムのような材料を充てんすることを、シーリング(コーキング)工事と呼びます。
シーリングは、紫外線や酸性雨の影響で年数を追うごとに硬化して縮んでしまいます。
そうすると、開いたすき間から雨水が浸入して、外壁内部を傷めてしまうため注意が必要です。
雨漏りの原因にもなるため注意してください。
特にサッシまわり(窓)のシーリングは、(関連記事)
2-5.チョーキング(白亜化現象)
外壁を触って、手や服に粉が付いてしまった経験はありませんか?
チョーキング(白亜化現象)とは、手で触ると白っぽい粉(塗料に含まれる顔料)が付く現象のことです。
新築時の使用塗料によって差はありますが、築5~8年頃から起こりはじめます。
白っぽい粉が付くようになると、塗装の防水効果が無くなってきているサインです。
できるだけ早めに外壁塗装を検討しましょう!
外壁を触ったことがない!」というかたは、陽当たりの良い南側の外壁(ベランダ)を確認してみてください。
「2-6.外壁の浮き・反り
サイディングは、塗装の防水効果が無くなると雨水(湿気)を吸収するようになります。
そうすると、雨水(湿気)の「吸収・乾燥」を繰り返すことで、上記(画像)のようにサイディングが浮いたり・反ったりします。
築10年以上で多く見られる現象ですが、塗装の寿命(経年劣化)が原因のため、早めに塗り替えを検討したほうがよいです。
そうしないと、塗装以外にサイディングの張り替えなど、余分な費用がかかってしまいまいます。
とくに、釘打ち施工してある場合は、釘頭がでたり・はずれたりもするため注意が必要です。
2-7.塗装の剥離(はくり)・ふくれ
外壁に施してある塗装は、築10~15年以上になると表面の塗膜が剥がれやすくなってしまいます。
剥がれる前には、塗膜がぷくっと膨(ふく)れるケースが大半のため、まずは「塗装の膨れがないか?」を確認してみてください。
塗装の寿命で起こる現象のため、早期の塗り替えをおすすめします。
手抜き工事が原因のケースもあるため注意してください。
塗装の剥離は、外壁が劣化しやすい家に共通する特徴や原因は?
外壁が劣化しやすい家には、共通の特徴や原因があります。
「我が家の外壁は劣化するのが早い!」と感じているかたは、下記3つのいずれかに該当するはずです。
- 立地条件(建設地)や家のつくりが原因
- サイディングのグレードが違う
- 新築時の塗装方法が原因
3-1.立地条件(建設地)や家のつくりが原因
外壁が劣化しやすい原因のひとつが、立地条件(家が建設されている場所)です。
陽当たりの良い場所に家が建っていると、悪い場所に比べ外壁が劣化しやすくなります。
陽当たりが良いと、それだけ外壁にあたる紫外線の量が多くなるからです。
また、軒先があまり出ていない屋根の家は、2階の外壁部分も紫外線や酸性雨(水分)の影響を受けやすくなります。
近年は、軒先が30センチにも満たない住宅も珍しくありませんが、外壁が劣化しやすい家に共通する特徴と言えます。
陽当たりの良い立地条件の例でいうと、以下のとおりです。
- 高台に家が建っている
- 南面接道の角地
- 周囲に家や障害物がない
高台に家が建っている
高台は平地にくらべ、外壁にあたる紫外線の量が多いだけでなく、風の影響も受けやすいです。
そのため、雨の日に風が吹いてしまうと、外壁にあたる雨の量も多くなります。
南面接道の角地
家の敷地の南側に接している道路のことを、南面接道と言います。
さらに角地となると、東か西側にも道路が接しているということになります。
北←南
*上記(画像)では、4軒並びのうち赤矢印の2軒が南面接道の角地です。
角地は、朝日(東)または夕日(西)も外壁にあたります。
そうすると、外壁にあたる紫外線や雨水の量が必然的に多くなってしまうため、角地以外の家よりも早く劣化していきます。
南面接道の角地に建っている家は、どうしても劣化しやすいです。
周囲に家や障害物がない
周囲に家や障害物がなければ、言うまでもく陽当たりは良いのですが、一年中紫外線や雨風の影響をうけるため、外壁は劣化しやすくなります。
しかし、不思議と「周りに家がない、離れている」場合には、外壁が劣化しても「気づかない・気にならない」というかたが多いです。
3-2.サイディングのグレードが違う
外壁が劣化しやすいかどうかは、サイディングのグレード(塗装の種類)によっても違います。
新築時の仕様打ち合わせの際、「外壁はどれにしますか?」という質問が住宅会社からありませんでしたか?
サイディングの「厚みや色・柄」など、「何日も悩んで選んだ」というかたもいると思います。
なかには、最初から外壁は指定されていた(建売住宅含む)、というケースもあることでしょう。
ではその際に、「この外壁は、○○年後には塗装が必要になります!」と言う説明がありましたか?
説明があったのかもしれないけど、「覚えていない(言われたような気がする)」、というかたが大半ではないでしょうか。
新築時に使用するサイディングは、2010年頃から高耐久のものが普及し始めました。
しかし、高耐久の外壁材を新築で標準仕様(追加料金なし)とする会社は多くない、というのが事実です。
大半の住宅会社は、塗装の耐用年数が5~8年くらいの外壁材(ウレタン塗装)、もしくは8~12年くらいの外壁材(シリコン塗装)を使用しています。
「我が家の外壁は劣化しやすい」と感じているかたは、いちど確認してみてください。
3-3.新築時の塗装方法が原因
新築時の塗装方法が原因で、劣化しやすい場合があります。
新築時の塗装方法は、以下の2とおりです。
- 工場で塗装した外壁材を現場で施工する
- 未塗装の外壁材を現場で塗装する
とくに、現場で塗装した外壁は要注意です!
工場で塗装
工場で塗装した外壁材とは、下記(画像)のようなデザイン(タイルやレンガ・石調など)が施されたサイディングのことです。
上記(画像)のようなサイディング材は、外壁メーカーの工場で機械による塗装をします。
塗装した外壁材を現場に搬入して、大工(サイディング職人)が取付・施工するという流れです。
工場で塗装 → 現場へ搬送 → 大工やサイディング職人が施工して完成!
工場で塗装したサイディングの場合、外壁材に欠陥があるものを使用するということは、通常では考えられません。
完成引渡し前までに、何度も住宅会社の厳しいチェックが入るからです。
そのため、「外壁材の欠陥が原因で劣化しやすい」というケースはほとんどありません。
前述したように、サイディングのグレード(塗装の種類)によって、耐用年数は違います。
現場で塗装
新築時に現場で塗装した家は、工場で塗装したサイディングの家よりも、外壁が早く劣化しやすいと言えます。
なぜかというと、塗装に予算をかける住宅会社が少ないからです。
新築時に現場で外壁塗装する場合、「耐用年数よりもコストのかからない塗料を重視する」というケースは珍しくありません。
外壁塗装より、「間取りやキッチンなどの設備」を重視して家を建設(購入)するかたのほうが多いからです。
住宅メーカー側からすると、外壁塗装より「間取りやキッチンなどの設備」に予算をかけるほうが、販売もしやくすなります。
そのため、新築時に現場で塗装した家は、工場で塗装したサイディングの家より早く劣化しやすいと言えるわけです。
最後に
「外壁が劣化する原因」と「劣化現象」、について解説させて頂きました。
外壁塗装の時期を検討する際、この記事の内容を参考にして頂けると幸いです。
劣化しやすい家のつくりや立地条件にお住まいのかたは、劣化現象を確認しながらメンテナンスの時期を判断してみてください。
そうすればきっと、(我が家にとって)最適な時期に外壁塗装ができると思います。
最後まで記事を読んでいただき、ありがとうございました。