こんにちは、マサキ工房です。
21年間のリフォーム営業と工務5年の経験をもとに、「住まいのリフォームに関する悩みや疑問を解決する記事(情報)」をお届けしているブログです。【2016年11月~小さな工務店を経営】
外壁塗装の相見積もりをした際、「なぜ外壁の塗装面積が業者によって違うのだろう・・」と疑問に思ったことはありませんか?
僕はこれまで、外壁塗装の見積書を2,000件以上作成(商談)してきました。見積書の外壁塗装面積は、(ほぼ全て)「実測」もしくは「図面」を使用する計算方法です。
外壁塗装の相見積もりをした場合、”見積書の外壁塗装面積が同じになる”ということはありません。
業者が見積もりに使用する”計算方法”によって、かならず誤差がでるからです。
この記事では、外壁塗装の見積もりの際に使用する、「実測・図面・係数」による”3種類の計算方法”を解説しています。
記事を読むことで、業者によって「外壁塗装面積が違う理由」や「見積書を比較する際の注意点」が分かります。
外壁塗装の見積書を確認する際、ぜひ記事の内容を参考にしてみてください。
なぜ外壁塗装の『見積書の面積』は業者によって違うのか?【3種類の計算方法を解説】
なぜ外壁塗装の「見積書の面積」は、業者によって違うのでしょうか?
じつは、外壁の塗装面積の算出は「3種類の計算方法」があります。そのため、使用する計算方法によって塗装面積はそれぞれ異なります。
外壁塗装の見積もりで使用する「3種類の計算方法」は、以下の通りです。
- 1.実測(現地調査)による計算方法
- 2.図面(平面・立面図)による計算方法
- 3.係数を使用する計算方法
それぞれの計算方法を順番に解説します。
1.実測(現地調査)による計算方法
「実測(現地調査)」とは、スケール(巻尺)や”レーザー距離計”などを使って、建物を計測する方法です。外壁塗装面積の計算式に必要な数値を、現地調査で計測します。
計算式は以下の通りです。
< 外壁塗装面積の計算式 >
建物の外周 × 外壁の高さ -(開口部)
建物の外周
「建物の外周」とは、東・西・南・北面の外壁の長さ(上記赤矢印)を合計した長さのことです。
上記(画像)の総2階建て住宅を、(真上から見た)「平面図」で表すと以下のようになります。
上記(画像)の総2階建て住宅の場合、赤線の長さ(東+西+南+北面)+(赤点線の長さ)を合計したものが、「建物の外周」です。
つまり、(東+西+南+北)の長さ +(内側に入り込んだ部分)の長さ = 建物の外周となります。
(真上から家を見たときに)凹凸が多い建物ほど、「建物の外周」は長くなります。
外壁の高さ
「外壁の高さ」は、上記(画像)の赤矢印(基礎を除いた)部分を計測します。上記のように外壁の種類や色が複数色の場合は、塗料缶数を計算をするために赤点線部分も頭に入れながら、別々に計測する必要があります。
開口部とは?
「開口部」とは、上記(画像)赤枠部分(サッシ窓やドア)のビニール養生する塗装しない箇所のことです。
(関連記事)
外壁塗装の養生費は『一式』の見積もりに注意!?計算方法の違いと費用相場を解説!
このように、「実測(現場調査)による計算方法」は、「建物の外周」・「外壁の高さ」・「開口部」の数量(長さ・面積)を計測してから、(計算式にて)外壁塗装面積を算出します。
外壁の劣化状況も確認することができるため、最も信頼できる計算方法です。
2.図面(平面・立面図)による計算方法
図面を使用して”外壁塗装面積”を計算する場合、新築時に住宅会社からもらう「平面図」と「立面図」が必要です。「平面・立面図」を用いた計算方法について、それぞれ解説します。
平面図
「平面図」とは、建物を真上からみた図面のことです。下記のように”寸法線”がはいった平面図を使用します。
平面図は、おもに「外周」を算出するのに使用しますが、”寸法線”は(柱の芯~柱の芯までの長さ)を記してあるため注意が必要です。実際には、「柱半分の長さ」と「外壁の厚み」を(足したり引いたり)しながら計算する必要があります。
立面図
「立面図」とは、建物を真横からみた図面のことです。(東・西・南・北面)からみた建物を、大半は100分の1の縮尺で記してあります。
立面図は、”外壁塗装面積”の計算式に必要な「建物の外周・外壁の高さ・開口部」を算出することが可能です。
「縮尺100分の1」の立面図は、(1センチ=1メートル)・(1ミリ=10センチ)となります。たとえば、定規で測って5.5センチあった場合、長さは(100倍の)5.5メートルです。
(0.1ミリ=1センチ)となるため、1センチ単位の正確な数字を算出するのは難しくなりますが、ほぼ正確な”外壁塗装面積”を計算することができます。
家(外壁)の造りが複雑(狭小地に建設してある等)の場合、実測では正確な面積を算出するのが困難なため、立面図を使用するケースが多いです。
「図面による計算方法」は、「立面図」だけでも”外壁塗装面積”を計算することは可能です。しかし、「平面・立面図」の両方を使用したほうが、より正確な面積を算出することができます。
業者に図面を預けるのが不安なかたは、事前に「平面・立面図」を等倍(100%)でコピーしたものを用意しておくと、スムーズに見積もりしてもらうことができます。
3.係数を使用する計算方法
「係数」を使用する計算方法とは、「延べ坪」に係数1.2を乗じて塗装面積を算出する方法です。この計算方法は、誰でも簡単に”外壁塗装面積”を算出することができます。
計算式は以下の通りです。
< 係数(1.2)を使用する計算式 >
総建築面積(延べ坪)× 3.3(㎡)× 1.2(係数)
まず、坪を㎡数に換算(1坪=約3.3㎡)して、つぎに1.2(係数)を乗じます。
< (延べ坪30坪)の場合 >
【 30(坪)× 3.3(㎡)】× 1.2= 99 × 1.2 = 118.8(㎡)
例えば(延べ坪30坪)の場合、外壁塗装面積は118.8㎡となります。「延べ床面積」ではなく、「延べ坪」を使用して計算する必要がありますので注意してください。
「延べ坪」と「延べ床」は間違えやすいため、わかりやすく説明します。
「延べ坪(総建築面積)」と「延べ床面積」の違い
延べ坪(総建築面積)
「延べ坪」とは”総建築面積”のことで、ベランダや玄関ポーチなども含めた施工面積のことです。たとえば、上記(画像)のような総2階建て住宅の場合、建物を真上から見た(平面図)で表すと下記の図になります。
上記図のように、「1階(玄関ポーチ含む)」と「2階(ベランダ含む)」の面積を合計したものが、「延べ坪」(総建築面積)です。
延べ床(面積)
「延べ床(面積)」とは、ベランダや玄関ポーチなどを含まない建物(室内)の施工面積ことです。平面図で表すと次のようになります。
上記図のように、「1階(玄関ポーチは含まない)」と「2階(ベランダは含まない)」の面積を合計したものが、「延べ床面積」です。
そのため、「延べ坪」(総建築面積)よりも「延べ床」のほうが、面積は少なくなります。
間違って「建坪(1階の建築面積)」や「延べ床面積」を使用して計算すると、外壁塗装面積は少なくなるため注意してください。
複数の色で塗装する場合は要注意!
(ツートンカラーなど)複数の色で塗装する場合、係数(1.2)を使用する計算は注意が必要です。「色ごとに塗料の缶数」を細かく計算するのが難しいからです。
たとえば、下記(画像)の2階建て住宅の場合、大半のかたは塗り替えの際にも”ツートンカラー”を希望されると思います。
なかには、上記(画像)のように”左右の色分け”ではなく、”1階と2階の色分け”を希望されるかたもいることでしょう。このようなケースは、係数による計算でも必要な塗料の缶数を予測することはできますが、正確(確実)な数値は分かりません。
複数の色で塗装する場合は、係数ではなく「実測」もしくは「図面」による計算方法が適切です。
このように、「外壁塗装面積」の算出には、3種類の計算方法があります。
「どの計算方法で見積もりするのか?」は業者次第ですが、(実測と図面)・(実測と係数)というように併用して計算するのが最適な方法です。
「図面」や「係数」のみで見積もりする場合でも、外壁の劣化状況まで確認(現場調査)してくれる業者をおすすめします。
外壁塗装面積の早見表【20~70坪】
ここでは、係数(1.2)を使用する計算方法で算出した「外壁塗装面積」を20~70坪までまとめた早見表を見てみましょう。
大きな誤差が出るケースとあわせて「見積書や費用相場」を確認する際、参考にしてみてください。
外壁塗装面積の早見表【20~70坪】
下記の表は、係数(1.2)を使用する計算で算出した「外壁塗装面積」です。
延べ坪(㎡) | 外壁塗装面積(㎡) |
---|---|
(坪×3.3) | (×1.2) |
20坪(66) | 79.2 |
25坪(82.5) | 99 |
30坪(99) | 118.8 |
35坪(115.5) | 138.6 |
40坪(132) | 158.4 |
45坪(148.5) | 178.2 |
50坪(165) | 198 |
55坪(181.5) | 217.8 |
60坪(198) | 237.6 |
65坪(214.5) | 257.4 |
70坪(231) | 277.2 |
上記の”外壁塗装面積”を目安にして、「見積書や費用相場」を確認してみてください。
ただし、家の造りによって10~20㎡以上の大きな誤差(プラス・マイナス)が出るケースもあります。
係数による計算で大きな誤差が出るケース
(係数による計算の場合)これからご紹介する6つのケースでは、”外壁塗装面積”に大きな誤差(プラス・マイナス)が出やすいため注意してください。
1.ベランダが(広い・ない)
上記(画像)の住宅のように、ベランダが広い(複数箇所ある)ケースは、係数による計算の面積よりも多くなります。なぜなら、ベランダの内側にも塗装する外壁(サイディング)の面積があるからです。
反対に、ベランダがない住宅の場合は、外壁塗装面積が少なくなります。
2.掃き出し(窓)の数
上記(画像)の赤点線部分のサッシのことを、「掃き出し(はきだし)」と呼びます。掃き出し(窓)が通常より「サイズが大きい(特注)・数が多い」という場合、係数計算の外壁塗装面積よりも少なくなります。
反対に、「掃き出し(窓)の数が少ない(1~2箇所)」という場合は、外壁塗装面積が多くなります。
3.下屋根が広い
「下屋根」とは、上記(画像)赤点線の1階部分の屋根を指します。”下屋根”が広ければ広いほど、係数で計算した塗装面積よりも少なくなります。
4.寄棟屋根の平屋住宅
下記(画像)のような、寄棟屋根の平屋住宅は係数で計算した塗装面積よりも少なくなります。
「寄棟(よせむね)」屋根とは、上記(画像)の住宅のような四面の屋根形状のことです。
でないため注意してください。
2階建て住宅の場合は、(係数で計算した外壁塗装面積と)それほど誤差は切妻・片流れ屋根の平屋住宅
下記(画像)のような切妻・片流れ屋根の平屋住宅の場合、寄棟よりも赤点線分の面積が多くなりますが、係数計算による外壁塗装面積とあまり誤差はでません。
一般的な平屋住宅は、2階建てと違ってベランダがないからです。
5.レンガ・タイル部分が広い
外壁の一部に「レンガ・タイル」を使用してある場合、広ければ広いほど係数による計算よりも外壁塗装面積は少なくなります。
6.大屋根(急こう配)の住宅
下記(画像)のような「大屋根(急こう配)」の2階建て住宅は、係数計算の外壁塗装面積よりも少なくなります。
屋根の造りが大屋根(急こう配)の2階建て住宅の場合、係数による計算では正確な”外壁塗装面積”を算出することはできません。
「実測」もしくは「図面」を使用する計算方法が必須です。
上記6つのケースに該当するかたは、係数計算の”外壁塗装面積”よりも10~20㎡以上の誤差がでることもあります。
なかには、係数を1.2ではなく「1.3とか1.4」を使用する業者もありますが、この場合も”外壁塗装面積は多くなる”はずです。
外壁塗装面積を”多め(余分)”にみることはあっても、少なめに計算する業者はいないからです。
できるだけ、「実測」もしくは「図面」による計算方法で見積もりしてくれる”塗装業者”をおすすめします。
足場面積に関しても上記と同じことが言えるため注意してください。
外壁塗装面積をごまかす業者に要注意!
外壁塗装の見積書を確認する際、”外壁塗装面積”に注意する必要があります。
外壁塗装面積を水増し計算して見積もりする塗装業者が珍しくないからです。
リフォーム営業マン時代、お客様から「なぜ会社によって㎡数(面積)が違うんですか?」と、質問されるケースも少なくありませんでした。
そのため、当時から(家の造りが複雑なケースほど)、見積書だけでなく”㎡数を計算した用紙”もお客様にご説明するようにしています。
極端に見積書の外壁塗装面積が多い業者の場合は、おそらく係数(1.2)ではなく「1.5以上の数字で計算しているのが原因?」だと思います。
(大きい・造りが複雑な)家を見積もりする場合、「実測」や「図面」による計算方法は手間(時間)がかかるからです。
相見積もりして外壁塗装面積と施工単価を比較する
1社だけの見積もりの場合、「外壁塗装面積や施工単価が妥当なのか?」を判断するのは困難です。
そのため、相見積もり(2社以上の見積もり)をして”比較する”ことをおすすめします。
外壁塗装は、以下の計算式で見積もりされます。
< 外壁塗装の見積もり計算式 >
外壁塗装面積 (㎡)× 施工単価(㎡/円)
たとえば、2社から見積もりをとった場合、”見積書の塗装面積”があまり変わらないようであれば、ほぼ正確な数値と言えます。
この場合、以下のように”施工単価を比較する”ことが可能です。
A 社:120(㎡)× 2,000(㎡/円)= 240,000円
B社:125(㎡)× 1,800(㎡/円)= 225,000円
施工内容・合計金額など、すべての面で気に入るようであれば、どちらかの業者に工事を依頼しても良いと思います。
しかし、下記のようなケースだと塗装面積に大きな誤差があるため、「施工単価」を比較してもあまり意味がありません。
A 社:120(㎡)× 2,000(円/㎡)= 240,000円
C社:150(㎡)× 1,600(円/㎡)= 240,000円
上記のように、30㎡(=5m×6mの面積)も違えば、合計金額は同じ場合でも”不安な気持ちになる”というかたは少なくないはずです。
このようなケースでは、以下のように3社相見積もりすることで、正確な塗装面積を予測することができます。
A 社:120(㎡)× 2,000(円/㎡)= 240,000円
B社:125(㎡)× 1,800(円/㎡)= 225,000円
C社:150(㎡)× 1,600(円/㎡)= 240,000円
上記の場合、「A社(120㎡)とB社(125㎡)」は外壁塗装面積が近い数値のため、C社(150㎡)よりも「正確な外壁塗装面積」の可能性が高いです。
1,600(円/㎡)なので(A社とB社より)確かに安いです。しかし実際には、外壁塗装面積が(A社とB社)より25~30㎡も多いため、「施工単価が安い!」という訳ではないため注意しましょう。
また、C社の見積書の施工単価は(関連記事)
使用する上塗りの塗料缶数を確認する!
外壁塗装面積が(20~30㎡以上)違う場合は、使用する上塗りの”塗料缶数”を塗装業者に質問してみてください。
もし、「使用する上塗りの塗料缶数も同じ」ということであれば、(外壁塗装面積の多い塗装業者の)手抜き工事に注意する必要があります。
面積が多くなるほど使用する塗料缶数も増えるのが当然だからです。
塗料1缶当たりの塗装面積にもよりますが、(関連記事)
このように、(工事費用はもちろんのこと)1社だけの見積もりでは、「外壁塗装面積や施工単価が妥当なのか?」を判断するのは困難です。
できるだけ相見積もりを取って、(上記の内容を参考にしながら)外壁塗装面積と施工単価を比較してみてください。
(関連記事)
最後に
外壁塗装の見積もりに使用する、「実測・図面・係数」による”3種類の計算方法”を解説させて頂きました。
外壁塗装の見積書を確認する際、この記事の内容を参考にして頂けると幸いです。
記事の中でもご説明しましたが、「係数(1.2)を使用する計算方法」は、下記の計算式で誰でも簡単に”外壁塗装面積”を算出することができます。
<外壁塗装面積の計算式>
【 延べ坪 × 3.3(㎡) 】× 1.2(係数)
「延べ坪」(総建築面積)は、大半のケースで図面に㎡数で記載してあります。面積の合計が2か所ある場合は、広いほうが「延べ坪」(総建築面積)です。
㎡数で記載してある場合は、(坪を㎡に換算しなくてもよいため)『 ㎡数 × 1.2 (係数)』の計算で外壁塗装面積を算出することができます。
外壁塗装面積が多すぎないか?」を確認してみてください。
もし、1社だけの見積もりで依頼するかどうか?を迷った際には、上記の計算式で「最後まで記事を読んでいただき、ありがとうございました。