こんにちは、マサキ工房です。
21年間のリフォーム営業と工務5年の経験をもとに、「住まいのリフォームに関する悩みや疑問を解決する記事(情報)」をお届けしているブログです。【2016年11月~小さな工務店を経営】
塗装工事を検討する際、塗料の”耐用年数や保証”ばかりに気を取られていませんか?
塗装工事は、どんなに良い塗料で塗り替えたとしても、ケレン作業(下地処理)がキチンと行われていないと、はやく塗装が剥げてしまいます。
しかし、ケレン作業の見積もりは業者によって全く違うため、「単価と費用相場」には注意が必要です。
なにも確認しないまま契約してしまうと、工事に入った際に手抜きされるケースも珍しくありません。
この記事では、塗装工事で行う”ケレン作業”について、以下のことを解説しています。
- なぜ「単価と費用相場」に注意が必要なのか?
- 契約時に確認するポイント
記事を読むことで、ケレン作業の重要なポイントがわかります。
塗装工事の業者選びの際、ぜひ記事の内容を参考にしてみてください。
塗装工事のケレン作業は『単価と費用相場』に注意!?
塗装工事のケレン作業は、「単価と費用相場」に注意する必要があります。
おもな理由は、以下の5つです。
- ケレン作業の種類によって施工単価の相場が違うから
- ケレン作業に要する人件費が費用相場のケースもあるから
- ケレン代の見積書の表記は業者によって違うから
- ケレン代は塗装の施工単価に含まれているケースがあるから
- 新築(前回の塗装)から年数が経過しすぎる割高になる?から
1. ケレン作業の種類によって施工単価の相場が違う
じつは、ケレンには4種類の作業方法があり、それぞれ施工単価の相場が違います。
「どのようなケレン作業をおこなうのか?」によって、見積もり金額は異なるため注意が必要です。
4種類のケレンの”作業内容”と「1㎡あたりの単価相場」をそれぞれみてみましょう。
1種ケレン
「1種ケレン」とは、高圧ホースで研磨剤を吹き付けてサビを落とす”ブラスト法”や化学薬品(剥離剤など)を使用して化学処理によってサビを除去するケレン方法のことです。
*明らかにサビや腐食具合がひどく、手作業では困難なケースでおこないます。
一般の戸建住宅で使用されることは滅多になく、大きな建物や商業施設・橋梁などの塗装工事の際におこなうケレン方法です。
「1種ケレン」は、(1㎡あたり4,000~5,000円位)が単価相場になります。
2種ケレン
「2種ケレン」とは、ディスクグラインダー(サンダー)など、電動工具を用いたケレン作業のことです。
上記(画像)は、カップブラシを取付けた(電動工具の)”ディスクグラインダー”とペーパーサンダー(2個)です。
<使用用途>
- カップブラシ →「頑固なサビ」を除去する
- ペーパーサンダー →「鉄・木部の表面」をなめらかにする
サビの範囲(面積)が広い場合や旧塗膜も除去するケースなどは、手作業ではかなり手間がかかるため、電動工具を使用する「2種ケレン」をおこないます。
戸建住宅では、”鉄骨階段や金属製の屋根”を塗装する際、「2種ケレン」をおこなうことが多いです。
「2種ケレン」の単価相場は、1㎡あたり1,000~2,500円位です。
(劣化状況にもよりますが)どちらかといえば、「旧塗膜の全面除去」よりも「サビ・剥離した部分だけ除去」するケースのほうが単価は高くなります。
3種ケレン
「3種ケレン」とは、皮スキやワイヤーブラシなどの道具を用いて、手作業でおこなうケレン作業のことです。
ケレン作業の範囲がせまく、サビと塗装が剥げている箇所だけを除去する(旧塗膜は除去しない)場合には「3種ケレン」をおこないます。
「3種ケレン」の単価相場は、1㎡あたり500~1,000円位です。
4種ケレン
「4種ケレン」も手作業でおこなうケレンですが、マジックロンや研磨紙を使用します。
*サビ具合が軽度で範囲もせまい場合には、(3種よりも)「4種ケレン」が主流です。
とくに、はじめての塗装工事の際(築10~15年前後)には、サビなどの腐食はそれほど進行していないケースが大半のため、「4種ケレン」をメインにおこないます。
マジックロン(ナイロン不織布)と研磨紙は、研磨した際の目の粗さを選ぶことができます。
番号が大きいほど研磨した際の目が細かく(なめらかに)なりますが、塗装工事では#120~#180番が主流です。
「4種ケレン」の単価相場は、1㎡あたり300~500円位です。
4種類のケレンの単価相場
4種類のケレンの単価相場をまとめると、以下のとおりです。
ケレンの種類(工具等) | 単価相場(円/㎡) |
1種(高圧ホース・化学薬品) | 4,000~5,000 |
2種(サンダー等の電動工具) | 1,000~2,500 |
3種(ワイヤーブラシなど) | 500~1,000 |
4種(研磨紙など) | 300~500 |
4種ケレンは、(以下のように)付帯塗装の単価に含めた見積もりをされるケースもあるため注意しましょう。
おもに付帯塗装(雨樋・雨戸・破風板など)でおこなうケレン含む)→ ○○万円
雨樋塗装(ケレン含む)→ ○○万円
雨戸塗装(見積書を確認する際、上記の単価相場を参考にしてみてください。
4種になりますが、現在とまったく違う色で塗装するかたは要注意です。
雨樋塗装のケレン作業は2. ケレン作業に要する人件費が費用相場のケースもある
ケレン作業は、単価相場で計算すると赤字になってしまう場合もあるため、(ごく稀に)人件費で見積もりされることがあります。
たとえば、サビのひどい鉄骨をケレンする際、「1人で作業して半日(4時間)かかってしまう」というようなケースが良い例です。
この場合は、「人件費(1人)×半日(4時間)=0.5人工」というような見積もりをされることもあります。
2人で1日(8時間)作業する場合は(1人工+1人工)=2人工、半日(4時間)作業をする場合は(0.5人工+0.5人工)=1人工です。
人件費で見積もりされた場合は、業者に「ケレンの種類」と「作業箇所」をよく確認しましょう。
3. ケレン代の見積書の表記は業者によって違う
ケレン代の見積書の表記は、業者によってそれぞれ違うため注意する必要があります。
”ケレン代”ではなく、「下地処理費」や「下地(素地)調整費」として見積書に記載されるケースもあるからです。
また、ケレン箇所によって見積もりの”単位”も異なります。
一般的な戸建住宅の塗装工事の際、業者が見積書にケレン代として表記する単位は以下のとおりです。
- 外壁・屋根材 → ㎡
- 軒天 → mもしくは㎡
- 破風板 → mもしくは㎡
- 雨樋 → m
- 雨戸(戸袋)→ 枚(大・中・小)もしくは㎡
- その他 → 人工(人件費)・一式・箇所
上記のようにケレン代は、業者によって見積書に表記する単位(計算方法)が違います。
そのため、複数社の見積もり(相見積もり)をした際には、(単価ではなく)かならず合計金額で比較するようにしましょう。
(関連記事)
>>外壁塗装の『付帯部』はどこまで見積りされる?付帯塗装の費用20選
4. ケレン代は塗装の施工単価に含まれているケースがある
ケレン代は、塗装の施工単価に含まれているケースがあります。
とくに、(築10年前後で)はじめての塗装工事をされるかたは注意が必要です。
築10年前後の塗装は、大掛かりなケレン作業は必要ないケースも多く、密着性や仕上がりを良くするための”目荒らし作業”が大半だからです。
「目荒らし作業」は、おもに雨樋・雨戸(戸袋)におこなう作業ですが、塗装工事では基本中の基本作業のため見積書に記載しない業者も珍しくありません。
(前述しましたが)見積書の項目に「雨戸塗装(ケレン含む)」などが記載してない場合は、かならずケレン作業の有・無を確認してみてください。
5. 新築(前回の塗装)から年数が経過しすぎると割高になる?
新築(前回の塗装)から年数が経過しすぎると、ケレン代は割高に見積もりされるのが一般的です。
見た目には塗装が剥げていない場合でも、高圧洗浄した際に塗膜があちこち剥がれてしまうケースもあるからです。
もし、高圧洗浄で塗膜が剥がれてしまった場合、(仕上がりを良くするためには)全体もしくは剥がれた箇所を部分的にケレン(下地処理)する必要があります。
15~20年以上塗装していない!」というかたは注意してください。
とくに、「高圧洗浄で塗膜の剥がれた箇所を”ケレンなし”で塗装すると、(剥がれていない部分との)段差ができてしまうため、仕上がりは良くないです。
しかし、格安すぎる業者に工事を依頼した場合、ケレン(下地処理)に手間をかけると赤字になってしまうため、(外壁に段差ができた状態で)そのまま塗装してしまうケースは珍しくありません。
(場合によっては)塗装が剥げてしまわないように、わざと高圧洗浄の”圧力を下げて洗う”こともあるでしょう。
15~20年以上経過しているかたは、格安すぎる業者の(高圧洗浄・ケレン作業の)手抜きには十分注意してください。
このようなケースを避けるためにも、新築(前回の塗装)から(関連記事)
>>塗装工事の高圧洗浄に必要な作業時間・乾燥の目安は?【3種類の洗浄方法の単価も解説!】
>>塗装工事の見積書に『ケレン』の文字はありますか?【手抜きされる原因と対処法】
このように、塗装工事のケレン作業は「単価と費用相場」に注意が必要です。
塗装工事の見積書を確認する際には、上記5つの内容を参考にしてみてください。
契約時に必ず確認するポイント
ケレン作業は、塗装工事後の保証あり・なしによって「契約時に確認するポイント」は違います。
とくに、”保証なし”の業者に依頼する場合には注意が必要です。
ここでは、「保証あり」と「保証なし」のケースにわけて、契約時に確認するポイントを解説します。
「保証あり」のケースで確認するポイント
依頼する業者が保証書を発行するケースでは、保証期間ではなく保証内容に注意する必要があります。
たとえば10年保証の場合、すべての不具合が10年間(無料手直し)の補償対象になるという訳ではないからです。
とくに、ケレン作業は外壁よりも(雨樋・雨戸などの)付帯部におこなうケースが多いため、付帯塗装の保証内容には十分注意してください。
付帯部の「塗装の剥がれ・ふくれ等」も補償対象になるのか?まで確認しておきましょう。
10年保証よりも5年保証する会社のほうが、付帯塗装の補償が充実しているというケースも珍しくないです。
保証内容を確認するポイントについては、以下の記事でくわしく解説しています。
「保証なし」のケースで確認するポイント
「保証なし」の業者に依頼する場合、下記2つのケースの見積書については、とくに注意が必要です。
- 見積書にケレン代・下地処理費等「一式○○円」だけ書いてある
- 見積書にケレン代・下地処理費等が書かれていない
上記のような見積書では、ケレン作業の有・無や種類(箇所)がまったく分かりません。
そのため、契約時に以下の3つをよく確認してみてください。
- ケレン作業の有・無と種類(箇所)
- ケレン作業後の塗り重ね回数(2回以上は必須)
- 下塗りの有・無(ケレンなしの場合)
トラブルを回避するためにも、上記3つのポイントだけは明確にしておきましょう!
このようにケレン作業は、塗装工事後の保証あり・なしのケースで「契約時に確認するポイント」は違います。
とくに、(金額は安いけど・・)「保証が短い・なし」という業者に依頼する場合には、「保証内容」と「3つのポイント」だけは確認してみてください。
(関連記事)
まとめ
塗装工事のケレン作業について、
単価と費用相場」に注意が必要なのか?
なぜ「契約時に確認するポイント
を解説させて頂きました。
塗装工事の業者選びの際、この記事の内容を参考にして頂けると幸いです。
「ケレン作業」は、塗装工事において基本中の基本作業です。手間(時間)のかかる作業ですが、ケレンすると塗料の密着性を高めるだけでなく、仕上がりも美しくなります。
契約時には、(手抜き工事を回避するためにも)工事完了後の「保証内容」と「3つのポイント」だけは業者に確認しましょう。
とくに、(共働き等で)「工事期間中は家を不在にする」というかたは意識してみてください。
最後まで記事を読んでいただき、ありがとうございました。