こんにちは、マサキ工房です。
21年間のリフォーム営業と工務5年の経験をもとに、「住まいのリフォームに関する悩みや疑問を解決する記事(情報)」をお届けしているブログです。【2016年11月~小さな工務店を経営】
「外壁塗装工事」は、リフォーム業者によって”見積もりの仕方”がそれぞれ違います。
なかには、(手抜き工事が心配なものの)見積書の内容がよく理解できないまま、合計金額だけで判断するかたも多いはずです。
僕はこれまで西日本の11県において、外壁塗装の見積書の作成(商談)を2,000件以上、そのうち1,200軒以上の契約・完工を経験してきました。
(2,000件以上の商談のうち)少なくとも300社以上は他社と競合した為、塗装工事の見積書に関する知識や情報(様々な見積もりの仕方)も熟知しています。
この記事では、外壁塗装の工程ごとに『見積書のチェックポイント15箇所』と単価・費用相場を徹底解説しています。
記事を読むことで、どのような経緯で見積もり依頼した場合でも、工程ごとの「単価・費用相場」や塗装業者の(施工・サービス等の)違いが分かります。
外壁塗装の見積書を確認する際、(悪徳・手抜き業者対策という意味でも)ぜひ記事の内容を参考にしてみてください。
外壁塗装の工程【基本的な工事の流れ】
外壁塗装の見積書の項目は、(工事の流れに沿って)”工程ごと”に記載(計算)されるのが一般的です。そのため、工事の流れを把握することは、見積書をチェックするうえで重要なポイントになります。
外壁塗装の基本的な工程(工事の流れ)は、以下の通りです。
- 仮設足場の設置(組立て)<着工>
- 飛散防止ネット(メッシュシート)取付け
- 高圧洗浄
- ビニール養生
- シーリング(コーキング)工事
- ケレン(下地処理・調整)
- 外壁の下塗り
- 外壁の中塗り(上塗り1回目)
- 外壁の上塗り(上塗り2回目)
- 付帯塗装(破風板・軒天・雨樋など)
- 飛散防止ネット・養生(ビニール)取外し
- 細部の仕上げ・手直し
- 塗装業者による点検・清掃
- 施主による点検(完工確認)
- 仮設足場の解体・清掃 <完工>
上記の赤文字以外の部分が、見積書に記載(計算)される工事の項目です。ほかにも「現場諸経費(管理費)」などの項目で、別途見積もりされるケースもあります。
見積書には「仮設足場」は”組立て・解体”で一つの項目、「飛散防止ネット」と「養生(ビニール)」は、”取付け・取外し”を省略して以下のように見積もりされます。
<見積書の記載例>
- 仮設足場(組立て・解体)
- 飛散防止ネット
- 養生(ビニール)
また、飛散防止ネット(メッシュシート)は、「メッシュ込み」など(足場代+飛散防止ネット代)で記載されるケースも少なくないです。
(見積書のチェックだけでなく)工事期間中の”トラブル防止”という意味でも、工事の流れをイメージ(把握)しておきましょう。
外壁塗装の工程ごとに『見積書のチェックポイント15箇所』と単価・費用相場を徹底解説!
ここでは、(前述した)外壁塗装の工程ごとに『見積書のチェックポイント15箇所』と単価・費用相場について解説します。
外壁塗装の見積書は、工事の種別ごとに以下の5項目に分けて記載(計算)してあるのが一般的です。
- 仮設工事(足場等)
- 下地処理(調整)等
- 外壁塗装
- 付帯塗装
- その他(備考)
『見積書のチェックポイント15箇所』と単価・費用相場を、工事の種別ごとに解説していきます。
2-1.「仮設工事(足場など)」のチェックポイント(1~3)
「仮設工事(足場等)」のチェックポイントは3箇所あります。
チェックポイント 1. 足場の種類と単価(費用相場)
外壁塗装の見積書には、最初に足場代が記載されるケースがほとんどです。
足場の種類
外壁塗装に使用する足場には、主に「単管・単管(ブラケット)・ビケ(クサビ式)」の3種類がありますが、その中でも足場専門業者に外注する、「ビケ(クサビ式)足場」が主流です。
自社で「単管・単管(ブラケット)」の足場を設置する業者の割合は少なく、大半は外注の「ビケ(クサビ式)」足場を使用(見積もり)します。
しかし、費用は「 単管 → 単管(ブラケット)→ ビケ(クサビ式)」の順に、値段が高くなるため注意してください。
まずは、見積書に「足場の種類が書いてあるか?」を確認しましょう。
足場の単価相場
「足場の単価」とは、足場の設置・解体にかかる”1㎡あたりの施工代金”(円/㎡)のことです。3種類の足場の単価相場は以下になります。
- 単管足場 → 500~800円/㎡
- 単管(ブラケット)足場 → 600~900円/㎡
- ビケ(クサビ式)足場 → 700~1,000円/㎡
100~200円/㎡)を含む金額で見積もりされるケースもあるため注意してください。
「足場代」は、(後述する)飛散防止ネット代(足場の費用相場(計算式)
足場の費用相場は、「建物の形状・敷地等」や業者の足場面積の計算方法によって、同じ建坪の場合でも大きな誤差がでるケースがあります。
「30㎡(5m×6mの面積)以上違う!」、というケースも珍しくありません。
そのため、見積書の「足場面積」と(前述した)「足場の種類・単価相場」をもとに、それぞれ計算が必要です。
足場代の計算式は、以下のとおりです。
足場代 = 足場面積(㎡)× 単価(円/㎡)
上記の計算式で求めた金額が「費用相場」になります。
例えば、見積書の足場面積が200㎡でビケ足場(700~1,000円/㎡)を使用する見積もりの場合は、以下のとおりです。
200(㎡)× 700(円/㎡)= 140,000円
200(㎡)× 1,000(円/㎡)= 200,000円
足場面積200㎡の費用相場は、14~20万円になります。
「単管・単管(ブラケット)」足場の場合も、上記と同様に計算してみてください。
(関連記事)
>>外壁塗装の「単管・ビケ足場」の単価と費用相場【値引き可能なケースも解説!】
>>平屋の外壁塗装で足場は本当に必要?塗装業者によっては不要になるケースも!?
>>外壁の足場代とは別料金!屋根足場が必要となる屋根勾配の目安は?
チェックポイント 2.「飛散防止ネット(メッシュシート)」の単価(費用相場)
「飛散防止ネット(メッシュシート)」の単価相場は、1㎡あたり100~200円です。
費用相場は、【足場面積(㎡)×単価相場(円/㎡)】で計算することができます。
例えば、見積書の足場面積が200㎡の場合の費用相場は、以下のとおりです。
200㎡ × 100(円/㎡)= 20,000円
200㎡× 200(円/㎡)= 40,000円
上記の計算で求めた2~4万円にが費用相場になります。しかし、飛散防止ネットの費用は、足場代に含めた金額で見積もりされるケースが少なくないです。
そのため、【足場代+飛散防止ネット代】の合計金額で、見積書を比較(検討)することをおすすめします。
また、「足場代」と「飛散防止ネット代」は、”単価の安い見積もり”には注意が必要です。
(次に解説しますが)足場面積を多めに計算して、単価を安く見積もりする業者が珍しくないからです。
(関連記事)
>>手塗りの外壁塗装だから足場に不要なのでは?【飛散防止のメッシュシート】
チェックポイント 3. 足場面積
外壁塗装の足場面積は、【建物の外周(m)× 高さ(m)】の計算式で求めることができます。
ところが、足場を「建物から何センチ外側に設置するのか?」や「高さ何メートルまで設置するのか?」の判断(会社の方針)によって、面積が大きく違うケースがあります。
注意しないといけないのは、面積を多めに計算して単価を安く計算する業者の見積書です。
例えば、(本当は)足場面積が200㎡でビケ足場(700~1,000円/㎡)を設置する場合、次のA社とB社のケース(見積もり)では、どちらが安く感じますか?
足場代 = 足場面積(㎡)× 単価(円/㎡)
A社:200(㎡)× 1,000(円/㎡)= 200,000円
B社:250(㎡)× 800(円/㎡)= 200,000円
上記のケースでは、合計金額は同じ20万円なのに(面積が50㎡も多く単価の安いB社)のほうが安く感じる!、というかたが少なくないのではないでしょうか。
A社のほうが誠実な優良業者のように思えますが・・、よくある事例のひとつです。
このように、外壁塗装の足場面積は、業者によって計算方法(見積もりの仕方)が違います。
足場面積は、”飛散防止ネット代”にも大きく関係するため、「面積と単価」には惑わされず(足場代+飛散防止ネット代)の合計金額で比較(検討)するようにしましょう。
(関連記事)
>>なぜ外壁塗装の足場面積は塗装業者によって違うのか?その理由と計算方法を解説!
>>外壁塗装の足場にかかる時間は?組み立てと解体時に不在の場合は要注意!?
>>外壁塗装の足場でよくある8つのトラブル事例【対策と2つのNG行為も解説!】
2-2.「下地処理(調整)」等のチェックポイント(4~7)
「下地処理(調整)」等とは、(高圧洗浄・養生・シーリング・ケレン)等の作業のことです。見積書のチェックポイントは、4箇所あります。
チェックポイント 4. 「高圧洗浄」の種類と単価(費用相場)
外壁塗装の高圧洗浄には3種類の方法があります。それぞれ単価も違うため、施工費用だけでなく高圧洗浄の種類にも注意が必要です。
高圧洗浄の種類
外壁塗装の高圧洗浄は、「ストレート・トルネード・バイオ」洗浄の3種類があります。
しかし、外壁塗装工事では「ストレート洗浄」をすれば、大半のケースで汚れ(チョーキング等)を洗い落とすことが可能です。
ストレートよりも洗浄力が強いのが「トルネード洗浄」、藻やカビがひどい場合には「バイオ洗浄」を使用(見積もり)するケースもあります。
高圧洗浄の単価(費用相場)
3種類の高圧洗浄の単価相場(1㎡あたりの施工価格)をまとめると、以下のとおりです。
洗浄の種類 | 単価相場(円/㎡) |
ストレート洗浄 | 150~200 |
トルネード洗浄 | 150~300 |
バイオ洗浄 | 300~500 |
費用相場は、【外壁塗装面積(㎡)× 単価相場(円/㎡)】の計算式で求めることができます。
例えば、外壁塗装面積が120㎡(約30坪)で、ストレート洗浄(150~200円/㎡)する場合の費用相場は、以下のとおりです。
120㎡ × 150(円/㎡)= 18,000円
120㎡ × 200(円/㎡)= 24,000円
上記の18,000~24,000円が費用相場になります。
見積書に「トルネード洗浄(150~300円/㎡)」や「バイオ洗浄(300~500円/㎡)」と書かれている場合は、上記と同様に計算してみてください。
高圧洗浄は、「どこまで見積もりの範囲内で洗ってくれるのか?」も重要なポイントです。
汚れてしまうため、事前に確認しておきましょう!
特に、建物まわりの”土間・コンクリート”は外壁の高圧洗浄で(関連記事)
>>外壁塗装の高圧洗浄はどこまで洗うのが一般的?ブロック塀や土間コンクリートは別料金!?
>>塗装工事の高圧洗浄に必要な作業時間・乾燥の目安は?【3種類の洗浄方法の単価も解説!】
チェックポイント 5. 「ビニール養生」の単価(費用相場)
外壁塗装の「養生(ようじょう)」には、前述した”飛散防止ネット”と”ビニール養生”があります。
「ビニール養生」とは、塗装専用の”ビニールシート”や「マスカー」(ビニールとテープが一体化したもの)を、塗装しない箇所(サッシ窓など)に貼る作業のことです。
外壁塗装する際には、サッシ窓以外にも建物の基礎・雨戸・軒天、場合によっては障害物(車庫など)、塗装する順番や作業状況に応じて(塗料が付着しないように)ビニール養生する必要があります。
ビニール養生の計算式
外壁塗装の「ビニール養生の費用」は、塗装業者によって見積もりの計算方法が違います。見積書に記載される計算式は以下の3通りです。
- 外壁塗装面積 × 単価
- 開口部の面積 × 単価
- 「一式」
「開口部」とは、外壁面にある(サッシ窓・雨戸・換気フード・電気メーターなど)、ビニール養生する部分(面積)のことです。外壁面以外の部分(軒天・車庫など)は含みません。
「開口部養生」という項目で見積もりされることもあります。
外壁塗装面積による計算の単価(費用相場)
外壁塗装面積による計算の”ビニール養生”の単価相場は、1㎡あたり200~300円です。
例えば、外壁塗装面積120㎡(約30坪)の場合、ビニール養生の「費用相場」は以下の計算になります。
120㎡ × 200(円/㎡)= 24,000円
120㎡ × 300(円/㎡)= 36,000円
上記の計算で求めた24,000~36,000円が費用相場です。
開口部の面積による計算の単価(費用相場)
開口部の面積による計算のビニール養生の単価相場は、1㎡あたり500~800円です。
例えば、開口部の面積30㎡(約30坪)の場合、ビニール養生の「費用相場」は以下の計算になります。
30㎡ × 500(円/㎡)= 15,000円
30㎡ × 800(円/㎡)= 24,000円
上記の計算で求めた15,000~24,000円が費用相場です。
「一式」の計算
ビニール養生費は、「一式」で見積もりされるケースも珍しくありません。
数量(面積や個数)を算出できない箇所は、”やむを得ない”と言えます。
しかし、何の根拠もなく(工事全体の)ビニール養生費を「一式」で計算された場合は要注意です。
その場合は、(前述した)”外壁塗装面積による計算”を用いて、費用を比較してみると良いと思います。
(関連記事)
>>外壁塗装の養生費は『一式』の見積もりに注意!?計算方法の違いと費用相場を解説!
チェックポイント 6. 「シーリング(コーキング)工事」の単価(費用相場)
外壁塗装のシーリング(コーキング)工事には、「打ち替え・増し打ち・ヒビ割れ補修」があります。
使用するシーリング(コーキング)材は、施工後も黒ずみ(汚れ)が目立たない、ノンブリードタイプの「変性シリコン」が最適な材料です。
シーリング「打ち替え」の単価(費用相場)
シーリング「打ち替え」は、おもに(サイディング目地・サッシ窓廻り等)の施工になります。見積もりの計算式は以下の通りです。
シーリングの長さ(m)× 1mあたりの施工単価(円/m)
シーリング「打ち替え」の単価相場は、(既存シーリング材の撤去処分費用込みで)1mあたり900~1,200円です。
例えば、シーリング「打ち替え」の長さが200mの場合、費用相場は以下の計算になります。
200m × 900(円/m)= 180,000円
200m × 1,200(円/m)= 240,000円
上記の計算で求めた18~24万円が、シーリング「打ち替え」200mの費用相場です。
安くなると思います。
シーリング専門業者に施工してもらうのがベストですが、塗装職人が打ち替えする場合は、もう少しシーリング「増し打ち」の単価(費用相場)
また、シーリング専門業者ではなく塗装職人が施工するのが一般的です。
②表面をカット(除去)してから施工するほうが、確実に長持ちします。
シーリング「増し打ち」の単価相場は、1mあたり500~900円です。
例えば、シーリング「増し打ち」の長さが200mの場合、費用相場は以下の計算になります。
200m × 500(円/㎡)= 100,000円
200m × 900(円/㎡)= 180,000円
上記の計算で求めた10~18万円が、シーリング「増し打ち」200mの費用相場です。
ヒビ割れ補修の費用相場
ヒビ割れ補修の費用相場は、「モルタル・ALC外壁」で左官補修が必要なくらい傷みがヒドイ場合は3~15万円です。
「サイディング外壁」で全体的にヒビ割れ補修が必要な場合は、3~10万円くらい必要になります。
よほどヒビ割れがひどくない限り、シーリング「打ち替え・増し打ち」の費用内で補修するケースが大半です。
外壁がサイディングの場合は、軽度なヒビ割れ補修は、下地処理(調整)の費用内で行われるため、見積書に記載されないケースも少なくありません。
ヒビ割れ箇所が多い(=作業量が多い)という場合には、「コーキング補修一式」等の項目で見積もりされることもあるでしょう。
(関連記事)
>>外壁のコーキング補修工事(シーリング)の費用相場!【打ち替え・増し打ち・ヒビ割れ補修】
>>外壁塗装工事に使用するコーキング材の種類【特徴と使用用途】
チェックポイント 7. 「 ケレン(下地処理・調整)」の単価相場
「ケレン」とは、サンダー(↑上記画像)などの電動工具や、ワイヤーブラシ・サンドペーパー等(↓下記画像)を用いて、サビや旧塗膜を除去する作業のことです。
ケレン作業は、よほど塗膜の”ふくれや剥がれ”がない限り、外壁に行うことは滅多にありません。
主に付帯塗装の(雨樋・破風板・雨戸などの鉄部や木部)に行う作業です。
見積書には「ケレン」ではなく、「下地処理・調整」等の項目で見積もりされるケースが少なくないため注意しましょう。
ケレンの種類
じつは、ケレン作業には以下の4種類があります。
- 1種ケレン → 高圧ホースや化学薬品を使用する方法
- 2種ケレン → 電動工具を使用する方法
- 3種ケレン → 皮スキやワイヤーブラシで行う手作業
- 4種ケレン → マジックロンやサンドペーパーで行う手作業
1種ケレンを行うことは滅多にありません。
戸建住宅では、また、戸建て住宅の外壁塗装で行うケレンは、上記の3種(ワイヤーブラシ等)と4種(サンドペーパー等)の手作業がメイン(主流)です。
ケレンの単価相場
各種ケレン作業の単価相場は以下の通りです。
- 1種:(4,000~5,000円/㎡)
- 2種:(1,000~2,500円/㎡)
- 3種:(500~1,000円/㎡)
- 4種:(300~500円/㎡)
見積書には「ケレン含む」等、付帯塗装箇所の項目に記載してあるケースも少なくないため注意してください。
手抜きされやすい作業でもあるため、見積書に記載がない場合は「ケレンの有・無(箇所)」を必ず確認しましょう。
(関連記事)
>>塗装工事の見積書に『ケレン』の文字はありますか?【手抜きされる原因と対処法】
>>塗装工事のケレン作業は『単価と費用相場』に注意!?契約時に確認するポイント!
2-3.「外壁塗装」のチェックポイント(8~10)
見積書のなかでもメインとなる外壁塗装の工事項目は、合計金額ばかりに気を取られるかたが少なくありません。
しかし、合計金額だけでは、「適切(良心的)な見積もりなのかどうか?」を判断することはできないため注意が必要です。
これから解説するチェックポイント(8~10)を意識しながら、見積書をよく確認してみてください。
チェックポイント 8. 「塗料メーカー・製品名」と単価<設計価格>
見積書に上塗り塗料の、「塗料メーカー・製品(塗料)名」は書かれていますか?
ごく稀にですが、「シリコン塗装」や「フッ素塗装」等、塗装の種類だけ書いてあって、”塗料メーカー・製品名”を記載しない業者が存在します。
昔から、ポリマー○○等々・・、”下塗り材を強調”(アピール)する業者によくみられる見積書の事例です。
上塗り塗料で決まるため、上塗りの「塗料メーカー・製品名」の記載がない見積書には注意しましょう。
塗装の耐用年数は、(ほぼ)塗料の単価<設計価格表>
見積書に「塗料メーカー・製品名」が書かれている場合は、塗料の単価<設計価格表>を確認することをおすすめします。
「設計価格表」とは、塗料メーカーの製品ごとに”1㎡あたりの施工単価”の目安を記したものです。
「塗料メーカー 設計価格表」でネット検索すれば、誰でも施工単価(目安)を確認することができます。
<検索例>
日本ペイント 設計価格表
エスケー化研 設計価格表
見積書に記載してある「塗料名と単価」をもとに、設計価格表に記載してある1㎡あたりの施工単価(目安)を比較してみてください。
300㎡以上のケースで施工単価が記載してあります。
ただし、設計価格表には塗装面積塗装面積が100~200㎡以下になることの多い戸建住宅では、設計価格より1~3割増しの施工単価が相場と言えるでしょう。
設計価格表の施工単価と「変わらない」もしくは「安い」という場合には、適切(良心的)な見積もりと判断することができます。
チェックポイント 9. 塗り回数(工法)
外壁塗装工事は、ローラー(手塗り)による3回塗り(標準施工)が一般的です。
見積書には、「下塗り・中塗り・上塗り」もしくは「下塗り・上塗り(2回)」の項目で、使用する塗料の単価で見積もりされます。
通常の3回塗り(標準施工)と比較すると、費用面で以下のような特徴があります。
色を変える3回塗り → 標準施工と金額は同等
中塗りのなしの2回塗り → 標準施工より金額は安い
下塗り2回の4回塗り → 標準施工より金額は高い
下塗りただし、「下塗りなしの2回塗り」と「下塗り2回の4回塗り」の場合、(施工事例が少ない・情報が少ない等)、1社だけの見積もりでは”金額が妥当なのか?”を判断することはできません。
高すぎる(悪質業者)、「4回塗り」なのに安い(良心的な業者)というケースもあるため注意が必要です。
「2回塗り」だけど相場よりご近所での施工実績を聞いたり、2社以上の見積もり(相見積もり)を取ることをおすすめします。
3つの工法は、それぞれメリット・デメリットもあるため、気になるかたは以下の記事を参考にしてみてください。
上記色を変える「3回塗り」の工法」
中塗りの>>中塗りの色を変える外壁塗装とは?【3つのリスクに注意!】
なし(シーラーレス)「2回塗り」の工法
下塗り>>下塗りなし(シーラーレス)の外壁塗装って本当に大丈夫?【おすすめしない5つの理由】
2回する「4回塗り」の工法
下塗りを>>外壁塗装の下塗りを『2回』もする必要ある??合計4回塗りのメリット・デメリット!
外壁の下塗り塗料の種類
>>外壁塗装に使用する『下塗り塗料』は何種類?【単価相場と適用下地(外壁)】
チェックポイント 10. 外壁塗装面積
外壁塗装工事は、相見積もりを取ると分かりますが、見積書の”外壁塗装面積”が同じになることはありません。
「相見積もり(あいみつもり)」とは、2社以上から見積もりを取ることです。
「5~10㎡前後違う」というのは当たり前のようにあることで、「20~30㎡くらい違う!」というケースも珍しくありません。
「なぜ”外壁塗装面積”が大きく違うケースがあるのか?」というと、業者によって計算方法が違うからです。
”外壁塗装面積”の算出は、「実測・図面・係数(1.2)」による3種類の計算方法がありますが、その中でも「実測・図面」による計算で見積もりしてくれる業者をおすすめします。
「実測・図面」による計算はそれほど誤差はでませんが、係数(1.2)による計算の場合は建物の形状等によって大きな誤差がでるケースもあるからです。
外壁塗装面積を「どの計算方法で見積もりしたのか?」を業者に確認してみましょう。
大きく違う場合は、(手抜き防止の意味も含め)それぞれ使用する上塗りの”塗料缶数”を確認してみてください。
もし、相見積もりを取って外壁塗装面積が(関連記事)
>>なぜ外壁塗装の『見積書の面積』は業者によって違うのか?【3種類の計算方法を解説】
>>外壁塗装に使用する塗料はどのくらいの量が必要?【塗料缶数の計算方法】
日本で唯一、建築士が運営する外壁塗装一括見積サイト 外壁塗装パートナーズ2-4.「付帯塗装」のチェックポイント(11・12)
「ラジカルやフッ素・無機塗装」など、外壁塗料の種類や耐用年数ばかりに気を取られていませんか?
外壁塗装の見積もり(商談)をすると、付帯塗装について質問されるお客様は少ないです。
しかし、前述した「高圧洗浄・ケレン」作業と同様に、手抜き工事の多い箇所でもあるため、付帯塗装の項目をチェックするのも重要なポイントです。
チェックポイント 11. 付帯塗装の単価相場
外壁塗装工事では、「軒天・破風板・雨樋・雨戸(戸袋)塗装」のほか、一般的には”ベランダ防水工事”も同時に見積もりされます。
1㎡あたりの塗装価格 → 円/㎡」・「1mあたりの塗装価格 → 円/m」の単位に注意しながら、以下の単価相場を確認してみてください。
「軒天塗装の単価相場
< 軒天塗装の単価相場 >
- EP塗料 → 600~800円/㎡
- NAD型塗料 → 800~1,500円/㎡
EP(合成樹脂エマルションペイント)・NAD(非水分散形塗料)については、以下の記事でくわしく解説しています。
軒天の材質(種類)や>>軒天塗装に使用する塗料の種類と単価相場【2回塗りの業者が多い理由】
破風板塗装の単価相場
< 破風板塗装の単価相場 >
- 2回塗り → 700~1,200円/m
- 3回塗り → 1,000~1,500円/m
注意点などについては、(破風板の素材ごとに)以下の記事でくわしく解説しています。
塗装する際の>>破風板塗装の単価・費用相場【幕板・鼻隠し(はなかくし)との違い?】
雨樋塗装の単価相場
< 雨樋塗装の単価相場 >
- ウレタン塗料 → 500~800円/m
- シリコン塗料 → 600~900円/m
- フッ素塗料 → 700~1,000円/m
比較を解説しています。
以下の記事で、雨樋塗装でよくある質問【Q&A】や交換費用との>>雨樋塗装は交換よりどのくらいお得なのか?【単価・費用相場を比較】
雨戸(戸袋)塗装の単価相場
< 雨戸塗装の単価相場 >
- 1,000~1,500円/㎡
- 2,000~4,000円/枚
1㎡あたり」もしくは「1枚あたり」の単価で見積もりされるため注意が必要です。
雨戸(戸袋)塗装は、大きさや枚数によって「「おすすめの塗料や塗装方法」、木製雨戸や窓シャッター・BOXについては以下の記事でくわしく解説しています。
ベランダ防水工事の単価相場
(トップコートの塗り替え)
- ウレタン防水→ 2,500~3,500円/㎡
- FRP防水 → 2,000~3,000/㎡
- シート防水 → 2,500~3,500円/㎡
(完全防水)
- ウレタン防水→ 4,000~7,000円/㎡
- FRP防水 → 8,000~12,000円/㎡
- シート防水 → 7,500~9,000円/㎡
ベランダ防水工事は、床面の劣化症状によって「トップコートの塗り替え」と防水層からやり直す「完全防水」の施工があります。
違うため注意が必要です。
完全防水の工法には、”密着工法”や”絶縁工法”など、業者によって提案する施工が「防水の種類や工法」、適切な施工の判断基準となる”劣化症状”などについては、以下の記事でくわしく解説しています。
>>ベランダ防水工事の種類と費用相場【トップコートの塗り替えとは?】
以外の付帯塗装については、以下の記事でくわしく解説しています。
上記チェックポイント 12. 付帯部に使用する塗料の確認
外壁だけでなく”付帯部に使用する塗料”もよく確認しましょう。付帯塗装の場合も使用する塗料の種類によって、耐用年数が長い・短いという特徴があるからです。
特に、フッ素や無機などの高耐久塗装を検討しているかたは注意する必要があります。
たとえば10年後、外壁はキレイなのに付帯部の劣化がヒドイと見た目が良くないからです。
せっかく高耐久塗装をしたのに、(見た目が悪いため)「結局10年後に塗り替えすることになった!」というかたも過去にいました。
外壁だけでなく、付帯部に使用する「塗料名・耐用年数」も確認してみてください。
不足による不具合いにも注意しましょう。
「付帯塗装」は、高圧洗浄・ケレン(関連記事)
2-5.「その他」のチェックポイント(13~15)
見積書の「その他」のチェックポイントは3箇所あります。
チェックポイント 13. 現場諸経費
外壁塗装では、”現場諸経費”や(現場管理費等)の項目で「見積もりする業者」と、「見積もりしない業者」に分かれます。
これは、会社の方針(経理上の考え方)によるものなので、”どちらが正しい”ということはないと思います。ただし、見積書を確認する際には注意が必要です。
例えば、次のA社とB社の見積書は、どちらのほうが安く感じますか?
A社:現場諸経費10万円+外壁塗装90万円 = 見積書の合計100万円
B社:外壁塗装100万円 = 見積書の合計100万円
B社の外壁塗装100万円よりA社の外壁塗装90万円のほうが”安く感じる!”というかたが少なくないはずです。
なかには、B社の見積書を見たことで、A社の「現場諸経費の10万円は不要なのでは?」という意見のかたもいると思います。
このように、外壁塗装の見積書は「現場諸経費の有・無」によって、業者を比較する際に混乱してしまいがちです。
上記のようなケースでは、A社の現場諸経費の内訳(詳細)を確認したうえで、見積書の合計金額を比較するようにしましょう。
チェックポイント 14. 保証に関する記載の有・無
見積書に”保証”に関する記載事項はありますか?
外壁塗装の保証には、工事を請負う会社の「自社保証」と第三者機関の「リフォーム瑕疵(かし)保険」等があります。
なかには、「保証しない」という業者も少なくないため、見積書を確認する際には注意が必要です。
自社保証の場合
「自社保証」する会社の見積書には、塗料の種類(耐用年数)に応じて「10年保証など」の保証期間が記載されます。
注意しないといけないのは、保証期間ではなく「保証内容」です。
(例えば)10年保証だからといって、すべての不具合が”10年間無料”で手直ししてもらえるという訳ではありません。(無料=補償)
同じ10年保証の場合でも、会社によって補償対象・期間が違うため注意が必要です。
(見積書には記載されないケースもあるため)以下4つの不具合については、「補償対象になるのか?」とそれぞれの”保証期間”も業者に確認してみてください。
- 外壁のヒビ割れ
- シーリング(コーキング)の割れ・ふくれ
- 塗装の剥がれ・ふくれ
- 色あせ(変色)
上記4つの「補償対象・期間」を確認すれば、業者を比較する際のポイントにもなるはずです。
保証内容」を重視しましょう。
見積書に記載される”保証期間”ではなく「(関連記事)
リフォーム瑕疵(かし)保険の場合
「リフォーム瑕疵保険」とは、国土交通大臣指定の保険法人が監修する保険です。
自社保証と比較すると、会社の”倒産リスク”や保証に関して安心できる保険と言えます。加入業者も厳正なる審査を通過しているため、優良業者の可能性も高いです。
しかし、”外壁塗装の保証”に関しては、自社保証より「保証期間が短い」・「保険料を負担しないといけないケースもある」というデメリットがあります。
外壁塗装と同時に(増改築などの)リフォームをするかた向けの保険と言えるでしょう。
興味のあるかたは、以下の記事を参考にしてみてください。
>>外壁・屋根塗装の保証は『リフォーム瑕疵(かし)保険』加入業者のほうが安心!?
保証しない会社の場合
外壁塗装は手抜き工事の場合でも、工事完了後から1年くらいまでの期間に不具合が起こることは滅多にありません。
「高圧洗浄・ケレン不足」などの手抜きや、下塗り塗料の選択ミスによる「塗装の剥がれ・ふくれ」等は、工事が完了してから1~2年後に発生する不具合です。
「保証しない会社」のなかにも、安くて良い工事をする優良業者はたくさんいますが、最低でも3年以上の保証をしてくれる業者をおすすめします。
前回の塗装から3~5年も経過しないうちに、(泣き寝入りして)再塗装を依頼されたお客様を、僕自身が何度も目の当たりにしてきたからです。
特に、「保証なし」で”格安すぎる”業者には十分注意してください。
原因については、以下の記事内で解説しています。
手抜きによる「塗装の剥離(はくり)→剥がれ」の>>サイディングの塗装時期は7つの症状が目安!手抜きによる剥離(はくり)に要注意!?
チェックポイント 15. 見積書の有効期間
大半のかたは見落としがちですが、外壁塗装の見積書には「有効期間」が記載してあります。
「見積書の有効期間」は、塗装業者によってそれぞれ違うため要注意です。
一般的には、2~3カ月とするケースが多く見られますが、なかには2週間~1カ月程度とする業者もあります。
例えば、有効期間が1カ月という場合、(1カ月過ぎたら見積書は無効)=「1カ月以内に工事をするかどうか決めてください!」という意味にもなります。
相見積もりを予定しているかたは、短期間で複数社の見積もりを取るのは大変なため、「見積書の有効期間」に注意してください。
(関連記事)
>>外壁塗装の見積書ができるまでの時間と有効期間は?現場調査は不在でも大丈夫!?
>>外壁塗装の見積りは何社で決断するのが理想?【1社目が住宅会社の場合は要注意!】
見積書には記載されない?必須の確認事項【外壁塗装の色】
ここでは、見積書には記載されない(できない)必須の確認事項として、「外壁塗装の色」について解説します。
外壁塗装の色に関する事項は、(塗装する色が決まっていないため)見積書に記載されないケースがほとんどです。
しかし、場合によっては(契約時または契約後)”追加料金”が発生する可能性もあるため、以下の3つについては契約前に確認することをおすすめします。
- 色によって値段が違うのか?
- 艶(つや)なしの有・無(料金)
- 色板見本とカラーシミュレーションの作成は無料?
3-1. 色によって値段が違うのか?
実は、外壁塗装は選ぶ色によって値段が違います。上記(画像)は、日本ペイントの共通標準色(色見本帳)になりますが、赤枠の3色を塗装する場合は割増料金です。
日本塗料工業会(日塗工)の色見本帳(600色以上)から選ぶ場合は、さらに割増料金になる色数も多くなります。
とくに、「濃い目」の色が割増料金になりやすいです。
(複数色や)どんな色を選んでも料金は同じです!(=割増分は業者負担)、と言われるケースが大半だと思いますが、念のため「色によって値段が違うのか?」を確認してみてください。
選べる色が限られるケースも!
遮熱・断熱などの”機能性塗料”は、色が限られているケースが大半です。また、業者によって選べる色を限定されるケースもあるため、色の種類にも注意しましょう。
3-2. 「艶(つや)なし」の有・無(料金)
外壁塗装の塗料は、”艶(つや)有り”が基本です。しかし、なかには「ピカピカするのは好きじゃない!」というかたもいるため、大半の塗料(製品)は”艶なし”にも対応しています。
”艶なし”の塗料は”つや有り”より、(仕入れの)値段が高くなるケースも少なくないです。
大半のケースで、「サービス(=割増分は業者負担)」になると思いますが、(艶なしを希望されるかたは)見積もりの段階で、「艶なしの有・無(料金)」を確認しておきましょう。
3-3. 色板見本とカラーシミュレーションの作成は無料?
外壁塗装の色は、”塗料カタログ”や”日塗工(600色以上)”の色見本帳だけで色決めすると失敗しやすくなります。
色見本帳は塗装してある面積が小さいため、(大半の色は)”面積効果”によって色が濃く見えてしまうからです。
「面積効果」とは、面積が小さいと色が濃く見えたり、(反対に面積が大きいと)色が薄く見えたりする効果のことです。
そのため、色見本帳より面積の大きい「色板見本(手の平~A4サイズ)」や、「カラーシミュレーション」を作成してもらうことをおすすめします。
色板見本の作成の流れ
「色板見本」は塗装工事の契約後、塗料カタログや日塗工(600色以上)の色見本帳から”候補色”を選んで塗装業者に依頼します。
塗装業者は、候補色の”色板見本の作成”を塗料メーカーに発注します。
完成した「色板見本」が業者からお客様の手元に届くまでの期間は、発注から3~7日前後が目安です。
「色板見本」の作成費用は、大半のケースで塗装業者が負担する(=無料になる)と思いますが、念のため確認しておきましょう。
「何色まで無料なのか?」も確認しておいたほうが良いです。
カラーシミュレーションの作成の流れ
「カラーシミュレーション」は、色板見本と同様に塗装工事の契約後、色見本帳から”候補色”を選んで塗装業者に伝えます。
塗装業者は、(家の)施工前の写真と”候補色”をもとに、「カラーシミュレーション」を作成します。
「カラーシミュレーション」がお客様の手元に届くまでの期間も、(色板見本と同様に)3~7日前後を目安にすると良いです。
色のイメージ(全体)を確認するためのツールです。
「カラーシミュレーション」は、業者のパソコン(印刷)環境によって仕上がり(色の質感)も違うため、最終的には”色板見本”で色決めしましょう!
上記3つの”外壁塗装の色”に関する事項は、見積書に記載されることはほとんどありません。
契約後に有料(非対応)となる可能性もあるため、見積もりの段階で確認しておくことをおすすめします。
事前確認することで、業者選びのポイント(比較)にもなるはずです。
おわりに
外壁塗装の工程ごとに『見積書のチェックポイント15箇所』と単価・費用相場を、僕のこれまでの経験をもとに解説させていただきました。
外壁塗装の見積書を確認する際、業者選びのヒントにして頂けると幸いです。
近年ではインターネットを通じて、誰でも簡単に外壁塗装のさまざまな情報を得ることができます。なかには、情報が多すぎて混乱してしまうかたも少なくないことでしょう。
しかし、(たくさんの情報を得て)どのような経緯で見積もり依頼するにしても、”業者を見極めるのはお客様自身”です。
(共働き世帯も多く)時間を作るのも大変だと思いますが、記事の内容を参考にしながら見積書の項目や気になる”ポイント”を確認してみてください。
そうすれば、きっと見積書から塗装業者の(施工・サービス等の)違いが明確になると思います。
最後まで記事を読んでいただき、ありがとうございました。